中2の学習

  • 数学

    『式の計算』

     計算の学習に入る前に,大切な用語の意味を正しく理解しましょう。式を「単項式」と「多項式」に区別し,次数を答える問題などが出題されます。
    2年生では「2種類の文字を含む多項式の計算」が中心になります。「加法と減法」や「多項式×数」で用いる分配法則は,符号にも注意して正確にできるようにしよう。「多項式÷数」は,乗法に直して(わる数の逆数をかけて)計算しますが,わる数が負の数の場合,特に符号には注意しよう。「分数の多項式の加法と減法」は,これから何度も出題されます。①通分して一つの分数にまとめる ②分子のかっこを外す ③同類項をまとめる の手順で確実にできるようにしましょう。
    また,「乗法と除法の混じった単項式の計算」では,文字の累乗や約分に注意し,「式の値を求める」ときは,式を簡単にしてから,数を代入して計算します。ここまでは基本の計算技能ですから,100%の習得を目指しましょう。
    後半は「式の利用」の学習です。まず,「文字式による説明」です,偶数・奇数・倍数・2桁の整数などを文字式で表したり,計算結果がどんな数になるかを文字式で説明したりする問題は多数出題されるので練習は不可欠です。「体積など図形の計量に関する文字式」も出題されるので,公式を再確認しましょう。
    2つ目の「等式の変形」も大切な計算技能です。1年生で学習した1次方程式の解法とほとんど同じなので,等式の性質の利用や移項,分母の消去など,問題に即した計算処理がすらすらできるようにしよう。

    『連立方程式』

     2年生で学習する方程式はこの「連立方程式」です。連立方程式に入る前段階として,2種類の文字を含む1次方程式である「2元1次方程式」を学びます。この方程式の解は,2つの文字(xとy)を同時に成り立たせる値の組なので,解は1つだけではなく複数存在します。 と の対応表を作って値の組を調べていくことになりますが,既習の等式の変形も利用して手ぎわよく正しい値の組を求められるようにしましょう。この問題は必ずテストに出題されます。
    2つの「2元1次方程式」を1組と考えたものが「連立方程式」です。連立方程式の解は, 2つの「2元1次方程式」の式の値の組が一致して,ただ1つ値の組になります。この「連立方程式」の解で,値の組を求める計算方法が,ここで学ぶ「加減法」と「代入法」です。「加減法」は2つの式の左辺どうし,右辺どうしを加えたり,ひいたりして,xまたはyどちらかの項を消す(消去する)ことによって,1年生で学習した(1元)1次方程式を導き解いていく計算方法です。1つの文字の項を消去するには,文字の係数をそろえる必要があるので,「等式の性質」を使って一方の式,あるいは両方の式を何倍かして,係数の絶対値をそろえます。こうして求めたx,yどちらか1つの解を,2元1次方程式に代入すれば,もう一つの文字の解が求められ,連立方程式の値の組を解くことができます。こ
    次は「代入法」の学習です。与えられた「2元1次方程式」のどちらか一方の式を変形して,xまたはyについて解くことから始めます。これによってx(y)=多項式の形に変形できるので,この文字の値である多項式を,他方の式の文字へ代入することによって文字の種類を置き換えやれば,やはり1年生で学習した1次方程式になります。多項式を代入するときは必ずかっこをつけるという約束を守りましょう。この1次方程式を解きx,yどちらか1つの解が求められれば,あとは加減法と同じ方法でもう一つの解も求めていきます。
    ここまでが,「加減法」と「代入法」の基本の解き方なので,繰り返し練習して,どちらの方法でも間違えずに素早くできるようにしましょう。
    ここまでがマスターできれば,①かっこを含む連立方程式と②小数や分数を含む連立方程式です。①で外して式を整理し,②では等式の性質を使って係数を整数に直して(分数の場合は分母をはらい),基本の「加減法」や「代入法」で解いていくことができます。計算過程が複雑になるので,途中で符号の間違いや計算ミスが起こらないように,慎重に求めていきましょう。求めた解の組を方程式に代入して,左辺と右辺が等式として成り立てば,解が正しく求められたことになるので,解の確かめもできます。時間があれば行ってみましょう。
    連立方程式の利用は高校入試にも必ず出題されます。問題文から2つの2元1次方程式をつくり,連立させて解いていくことになります。初めは表をつくって問題を整理し,方程式を立てていきますが,複雑な表になってしまう場合も出てくるので,簡単な図や数直線を考える手立てとして用いる習慣をつけていきましょう。 
    連立方程式の利用では,①個数と代金,②速さ・時間・距離(追いかけ算や出会い算を含む),③もとにする量・比べられる量・割合,④溶質・水溶液・濃度,⑤前年度と今年度の増減の割合 などに関する数量関係がよく出題されます。類題をたくさん練習しておきましょう。

    『1次関数』

     2年生の単元の中で,最も重要ともいえる『1次関数』の学習です。方程式や図形とも関係して出題されることが多く,総合的な数学の思考力も問われます。先ず,1年生の「比例と反比例」でも作成した対応表を使い,xとyの値の関係や変化の特徴を明確にしましょう。
    1次関数では,xの値が同じ数ずつ増加(減少)すれば,yの値も同じ数ずつ増加(減少)していくことがわかります。つまり, xの値が1ずつ増えている対応表であれば,yの値が同じ数ずつ増加(減少)しているかを調べるだけで,1次関数か否かを見分けることができます。
    また,2組のxの値とyの値から,それぞれの増加量を求めたとき, xの増加量に対するyの増加量の割合(変化の割合)すなわち『yの増加量÷xの増加量』が,常に一定a になることもわかります。ここまでは比例の場合と同じです。
    ところが,表を横に見たとき,比例のように「xの値が2倍,3倍…になると,yの値も2倍,3倍…になる」とはなりません。しかし,全てのyの値から,xの値が0のときのyの値を引いて調べてみると,比例の関係y=axになります。つまり,1次関数のyの値はy=axより,xの値が0のときのyの値分だけ大きく(小さく)なっています。そこで,xの値が0のときのyの値をbとすれば,1次関数はy=ax+bという式で表せることになるわけです。
    また,この式をbについて解けば,b=y-axとなるので,変化の割合aと1組のxとyの値が分かれば,計算でbを求めることができます。
    以上から,①yの増加量÷xの増加量=変化の割合aを求め,②b=y-axで,定数bを求めれば,1次関数の式をつくることができます。このあとの「グラフ」や「1次関数の利用」の学習でも,y=ax+bの式が必要になります。基礎基本の技能としてマスターしましょう。
    続いて,1次関数のグラフをかいたり読んだりする学習です。グラフをかく方法は2通り覚えましょう。1つは,1次関数の式y=ax+bから,xの値が0のときのyの値を表すb (座標で考えれば,x座標が0のときのy座標を表すbの座標=切片)から,xの値の増加量分だけ左右方向に,yの値の増加量分だけ上下に移動した点まで直線で結ぶ基本的なかき方。もう一つは,変域のあるグラフをかく場合で, x座標の変域の最大値と最小値をy=ax+bの式にして,それぞれのy座標を求め,変域の両端となる座標を結ぶかき方。簡単に座表面に表せるようにしましょう。
    グラフを読む場合は,グラフ上の点の2つの座標から,xとyの値の増加量を調べ,①変化の割合aを求め,b=y-axに代入してbを計算すればえば,1次関数の式で表すことができます。比例のグラフと同様に,aの値によって,グラフが右上がりなのか左上がりなのか,傾きは大きいのか小さいのか覚えておくと,グラフを間違ってかくことがなくなります。
    ここでは,2直線の交点の座標が,2つの直線の式の連立方程式の解から求められることも学習します。これは,次に学ぶ1次関数の利用の問題で使うので,代入法を用いて交点の座標が簡単に求められるようにしておきましょう。

  • 理科

    『化学変化と原子・分子』

     1年生では状態変化について学びました。ここでは今後,学んでいく化学変化についての基礎を学習していくことになります。最初に,物質を熱や電気によって「分解」する化学変化を,本格的な実験を体験しつつ学んでいきます。ここでは,実験方法や安全への配慮・化学変化前後の物質の違いやその確認法などについて出題されます。
    次に,物質をつくっている「原子や分」子の学習に進みます。化学では必須となる原子の記号や物質の化学式を覚え,化学変化を化学反応式で表す大切な学習です。授業で行った実験を,物質名を使った式で表し,次に化学反応式を使って表していきます。間違えずに書けるようになるまで,何度も練習を繰り返しましょう。化学変化を,モデルを使って説明する問題もよく出題されます。
    次に,2つ以上の物質が1つの物質に変化する化学変化である「化合」について学習します。分解の学習と同様に,実験の方法と結果・化学変化前後の物質の性質の違いを説明したり,実験を化学反応式で表したりする問題が出題されます。化学変化の最後は,酸化物から酸素をとる「還元」です。酸化銅を炭素と混ぜ合わせ加熱すると銅が得られることを実験で確認し,化学式を使ってその理由を理解していきます。
    「分解と化合」「酸化と還元」の化学変化を,化学式を使って説明する「化学分野」の基本を学ぶ必須の単元なので,すべての実験を化学式で表せるようにしましょう。
    この単元の最後は,化学変化の前後で,物質の質量はどう変化するのかを学ぶことになります。「密閉した容器と密閉していない容器」「沈殿ができる反応と期待が発生する反応」など,条件を変えて実験し調べていきます。さらに,化合するときの物質の質量の割合は一定であることを知って,化学変化前後の物質の質量を,比例式で求める学習を行います。化学式で物質の変化を考え,比例式や方程式を使って求めていく多くの人が苦手にする内容ですが,練習問題を繰り返し克服していきましょう。

    『動物の生活と生物の変遷』

     植物と動物の細胞のつくりを,顕微鏡を使った観察を通して学びます。資料の採り方・プレパラートのつくり方・観察器具の操作などが併せて出題されます。模式図を使った細胞内の各部分の名称やはたらきを問う問題は必ず出題されます。続く「単細胞生物と多細胞生物」では,それぞれの特徴や相違点を学びます。「単細胞生物」では植物と動物の例を挙げる問題,「多細胞生物」では,細胞の形態(組織や器官)に関する問題が動物や植物の図をつかって出題されます。これ以降は,人のからだを構成するさまざまな器官についての学習です。
    まず「消化と吸収」について学んでいきます。「だ液のはたらき」を確認する学習では,だ液に含まれている物質・実験の方法や結果・考察に関する問題が決まって出題されます。続いて,食物の成分が分解された後,血液によって運ばれる過程を,図や身体模型を使って学び,胃や小腸などそれぞれの「消化器官」のはたらきや,消化の過程・吸収のしくみに関する問題が出題されます。単元の中心となる学習なので,多くの練習問題に取り組んでおきましょう。
    学習は「呼吸のはたらき」と「血液のはたらき」に進みます。「肺や心臓」のしくみやはたらき,「血液の成分や血管の種類」とそれぞれのもつ役割や特徴など,覚えることがたくさんあります。用語を正しく理解するとともに,呼吸器・血管の模式図を使って考察できるようにしましょう。栄養分や不要分を運ぶ血液の循環や,肺で行われる呼吸とそれぞれの細胞内で行われる呼吸の共通点や相違点などについて頻繁に出題されます。
    「排出のしくみ」では,血液中の物質が腎臓のはたらきによって,どのように排出・再吸収されているかを,「刺激と反応」では,刺激を受け取り,反応していくまでの過程を学んでいきます。同時に肉食動物と草食動物の体のつくりの違いやその理由,ヒトの目や鼻・耳などの器官についてもそのしくみを調べていきます。腕を曲げたり伸ばしたりするしくみを「骨と筋肉のはたらき」から理解するまでが,人のからだのしくみについての学習になります。内容が多岐にわたり,豊富な知識も必要となるので,何問も例題を解いておくことが必要です。
    この単元の最後は,「動物の分類と生物の進化」になります。「セキツイ動物」では,呼吸法・体温調節・子の生まれ方・生活場所などから5つに分類されるそれぞれの特徴に関する問題が。「無セキツイ動物」では,からだの特徴から仲間分けをしたり,動物の例を挙げたりする問題がよく出ます。「セキツイ動物」については,地球上に出現した順や進化の過程を化石や系統樹などから学んでいきます。ここでは,進化と生活場所の変遷や,進化の証拠について問う問題が出題されます。

    『電気の世界』

     静電気(異なる物質を互いに摩擦したときに発生する電気)について,その正体と性質についての学習から始まります。目に見えない電気の力なので,実験が極めて大切です。テストにも授業で行った実験をもとに出題されます。実験結果や実験からわかるは必ず出題されるので,「2種類の物体が同じ(異なる)種類の電気を帯びている場合,しりぞけ合う(引きつけ合う)」などと,書けるようにしておこう。静電気が発生したり,放電が起こったりする理由や,陰極線・電子の説明も出題されます。教科書やノートを参考にして,文章で答えられるようにしておこう。
    2章は電流についての学習です。ここでも,大部分は実験と関連付けての出題になります。配線図のかき方や,電流計・電圧計・電源装置の正しい扱い方や接続の仕方などです。これらは必須の技能ですから,正しく理解し,器具の操作や銅線の接続が一人でもできるよう,率先して実験に参加しましょう。直列回路と並列回路で異なる電流・電圧の性質は絶対に覚え,並列回路の電流ならば,式で『I=I1+I2』のように,文章で『枝分かれする前の電流の大きさは,枝分かれした後の電流の和に等しく,再び合流した後の電流にも等しい』などと答えられるようにしよう。
    オームの法則を使った計算問題は,縦に「電圧・電流・抵抗」,横に「抵抗1.・抵抗2・回路全体」の項目を作った表を用いて,わかっている値を記入してから,わからない部分の値を,オームの法則を使って,1つずつ順に計算していくと比較的簡単に求められます。さらに,直列回路と並列回路の合成抵抗(回路全体の抵抗)を求める式も覚えておくと,電圧や電流がわからなくても(計算で求めなくても),回路全体の抵抗がわかるのでとても便利です。
    2章の最後は電力についての学習です。電気エネルギーの大きさ表す電力は「電力(W)=電圧(V)×電流(A)」,電流を流すと発生する熱量は「熱量(J)=電力(W)×時間(s)」,一定時間電流が流れたときの電気エネルギーの総量である電力量は「電力量(Wh)=電力(W)×時間(h)」,または,「電力量(J)=電力(W)×時間(s)」で計算できますが,単位が複雑なので,注意して計算し正しい単位で答えるようにしましょう。
    3章では,磁石どうしが,引き合ったり反発し合ったりする力を「磁力」と知り,その「磁力」がはたらく空間である磁界について学習していきます。棒磁石の周りに鉄粉をまき,複数の方位磁針を置いて極を調べる実験によって,磁針のN極が「磁界の向き」,N極からS極まで磁針がさす向きに結んでいった線が「磁力線」であること,また,棒磁石の代わりに電磁石を用いても同様な磁界ができることが確認できます。これによって,磁力は磁石だけでなく,電流が流れている導体でもはたらくことがわかります。
    次に電流が流れている導線がつくる磁界を調べます。1本の導線では磁力が弱く観察が難しいので,磁力を強めるため導線をいくつか巻いたコイルを使って行います。この実験で,コイル(以下導線)を流れる電流のまわりの磁界は,①導線を中心として,同心円状にできること。②導線を流れる電流がつくる磁界の向きは,電流の流れる向きに対して,「ねじ」を回す向きでること(右ねじの法則)。③導線に近いほど磁界が強いこと。がわかります。また,コイルを引きのばしたもので実験をすると,コイル状の導線の内側には,電流の向きに人差し指~小指の4本指を回して握ったときの,親指の向きが磁界の向きであること(右手の法則)も確認できます。ここまでが「電流と磁界」についての基礎基本になります。磁界の向きや実験結果に関する問題も多く,正しい理解が必要です。
    導線でつくったコイルに電流を流すと磁界ができることから,コイルに電流が流れると,磁石と同様に,磁力がはたらくと予想し実験していきます。U型磁石がつくる磁界の中で,コイルに電流を流すと,コイルは前後どちらかの方向に動き,電流を強くすると大きく動き,電流の向きを変えると,動く出す向きが変わることが確認できます。このときコイルは,磁石がつくる磁界と導線を流れる電流がつくる磁界の向きが同じところ(磁界が強い部分)から,逆向きのところ(磁界が弱い部分)に向かって動きます。これが「コイルが磁界から受ける力」になります。「磁界の向き・電流の向き・力の向き」の関係は「フレミングの左手の法則」を使って確認できますが,「磁界の向きと磁界の強さ」の関係で考える方が,図を用いたさまざまな問題に応用できて便利です。
    続いて,コイルに磁石を出し入れしたり,コイルを磁石に近づけたり遠ざけたりすることで電流が発生することを,検流計を用いて確認する実験をします。磁石を動かすことで,コイル内部の磁界(磁力線の数)が変化することによって,電圧が生じてコイルに電流が流れる現象(電磁誘導)と,流れる電流{誘導電流}について学びます。誘導電流を大きくしたり,流れる向きを変えたりする方法がよく出題されます。磁界から受ける力や電磁誘導を利用した身の回りの物を問われることもよくあるので,チェックしておきましょう。
    最後に,電流には,乾電池の電流のように,+極から-極へと常に一定方向へ流れる電流「直流」と,とコンセントの電流のように,+極と-極が絶えず入れかわり,電流の向きが変化する「交流」があることを学びます。発光ダイオードやオシロスコープを使うと,それぞれの電流がどのように表示されるか覚えましょう。

    『天気とその変化』

     最初に気象観測の方法を学習します。「気温・湿度・気圧・風向・風力」などの気象要素は,それぞれどのように観測するのか,また,観測に必要な器具や観測時の注意点などを覚え,観測データをグラフで表せるようにしましょう,テストでは,グラフから,天気と気温や湿度の関係や,気圧と天気や風向の関係を読み取る問題が出題されます。また,データを天気図記号で表したり,天気図記号を読み取ったりする問題もよく出ます。
    次に,1章の中心となる「湿度」と「雲のでき方」の学習です。湿度は,乾湿計で測定した「乾球・湿球の温度」から「湿度表」を使って求める方法と,コップに入れた氷水を使って露点を求め,飽和水蒸気量を用いて計算する方法の2つを学習します。どちらの方法でも湿度が求められるようにしよう。雲が発生するするメカニズムを文章で説明できるように何度も復唱して覚えましょう。『空気が暖まる→上昇気流が生まれる→空気が膨張して温度が下がる→露点に達し水蒸気が水滴に変わる→水滴が集まって雲になる』。さらに。雨や雪になるまでも同様に覚えましょう。続いて,気圧と風の学習です。テストでは,いくつかの地点で気圧を測定し,等しい気圧の地点を等圧線で結んだ気圧配置図を使って出題されます。①等圧線を読んで気圧を答える,②気圧の高低から風向を答える,③等圧線の間隔から風の強弱を答える問題が出題されます。
     2章では,天気が変化するメカニズムを学習します。気温や湿度などの性質が異なる空気のかたまりである気団(後述)が接し合う面(前線面)と地表面とが交わる交線=「前線」が,偏西風によって移動することで,天気は変化します。寒気が暖気の下にもぐり込み,暖気をおし上げながら進む「寒冷前線」や,暖気が寒気の上にはい上がり,寒気をおしやりながら進む「温暖前線」が近づくことで,天気はそれぞれどう変化するのかを,「発生する雲の種類・雨の降り方や時間・前線通過後の気温変化や天気」などについて出題されます。天気図を見て,どちらの前線が接近しているかを判断し,気象の変化が予想できるようにしておこう。また,最初に学習した気象データのグラフからも,どちらの前線が接近したのを問う問題も出題されます。ここでは,前述の気団についても理解する必要があります。日本列島の上空をおおう4つの気団名と,それぞれの性質(気温と湿度)を覚えましょう。これは次の学習で活きてきます。
    3章では,特徴ある日本の天気は,大気の動きとどのように関連しているのかを学習します。春と秋の初め頃は,大陸から移動性高気圧と低気圧が次々に日本列島を通過するため,晴れの日と雨の日が交互に訪れ,同じ天気が長続きしません。冬は,シベリア高気圧が成長し,日本列島の東の海上にできる低気圧に向かって,シベリア気団の冷たく乾燥した北西の季節風が吹くので,日本海側には大量の雪,山地を超えた太平洋側には冷たく乾燥した風が吹き晴れの日が続きます。初夏は,日本列島の上空を,北にオホーツク気団,南に小笠原気団がおおい,2つの気団の間に停滞前線ができるため,雨や曇りの日が続く梅雨(つゆ)の季節になります。夏になると,日本列島の南東に太平洋高気圧が発達します。その影響を受け,日本列島上空に小笠原気団が張り出してくるので,高温多湿で晴れの日が多くなります。熱帯低気圧のうち,最大風速が17m/秒以上のものが台風です。熱帯地方で発生した台風は,秋近くなると太平洋高気圧のへりを沿うように日本列島付近まで北上した後,偏西風に流されて日本列島に到来し,豪雨や強風をもたらします。季節の移り変わりを,気団や気圧の特徴と結び付けて考えられるようにしましょう。大気の流れは,垂直方向に動く気流と水平方向に動く風とに分けられます。いずれも気圧や上空の温度差によって流れる方向が変化します。ここでは,海上と陸上における日中と夜間の温度差から生じる「海風風」と,より広範囲な大陸と海洋において,季節で変わる温度差から生じる「季節風」についても学習します。風は一般に「気温が低い方から高い方」へ,気圧が「高い方から低い方」へ流れること,実験や図を通じて理解しましょう。最後に,日本列島の日々の天気の変化が,北半球の中緯度付近の上空を西から東へ向かって吹く偏西風の影響から予想できることも,実際の天気図等を使って確認してみましょう。

  • 社会

    『歴史・ヨーロッパ人との出会いと全国統一

     中世ヨーロッパの十字軍の目的やルネサンスの作品については簡単な出題があります。宗教改革は指導者やその目的が,その結果や影響は大航海時代と関連づけて出題されることが多いです。コロンブスらの航路は世界地図とともに必ず出題されます。続いて,ヨーロッパ人との出会いです。鉄砲は,伝来地や伝えた人だけでなく,鉄砲よって戦がどう変化したかも問われます。キリスト教も宣教師名だけでなく,その影響としてキリシタン大名の登場や南蛮貿易と関連させて出題されます。
    日本統一までの信長と秀吉の業績については詳細に出題されます。信長は,経済の振興政策をとった信長は,鉄砲を使用した長篠の戦が「長篠の戦の屏風絵」と,楽市楽座が「安土城の復元図」とともに,兵農分離政策をとった秀吉は,太閤検地が「検地図」と,刀狩が「刀狩令の文献」とともに頻繁に出題されます。キリスト教に対する政策で2人が比較されることもあります。
    桃山文化の「城や天守閣」などの建築物,「狩野派の絵画」や「利休の茶の湯」などとともに,「南蛮文化」のカステラなど貿易で伝わったものや,ローマ字で書かれた書物に関する資料問題が,それぞれの文化の特色を説明させる問題とともに出題されます。

    『歴史・江戸幕府の成立と鎖国』

     江戸幕府の成立に関しては,幕藩体制を確立するために行った「大名の配置・武家諸法度・参勤交代」の3つについての出題がほとんどです。外様や親藩・譜代の配置の特徴や参勤交代の方法を,その目的も含めて問われます。身分制度について,それぞれの身分の人口の割合とともに,武士では特権,町人では自治について出題があります。農民に関しては,百姓の区分や村役人の役割・五人組の制度など多くの出題があります。
    家康が貿易の発展のために行った朱印船貿易に関して,朱印状や日本町などの用語が,続いて鎖国までの貿易の統制は必ず出題されます。キリスト教の教えが幕府の考えに反していたことや,禁教令の発布から → 朱印船貿易の停止→ポルトガル人の出島への移住→島原天草一揆→ポルトガル船の来航禁止(鎖国の完成)までを順を追って覚えましょう。鎖国後の幕府の対応として,絵踏みと宗門改め・オランダ風説書が出題されます。朝鮮通信使や琉球王国の服属・アイヌ民族との交易や戦いなども一緒に出題されることもあります。

    『歴史・産業の発達と政治改革』の発達と政治改革』

     中学では,享保の改革(1716)→田沼の政治(1772)→寛政の改革(1787)→天保の改革(1841)の4人が行った政治改革を学びます。改革名と施行者,改革順は必ず出題されます。年号も語呂合わせで暗記しておくと,改革以外の出来事や海外の情勢など,年表がなくても歴史順がわかるのでお勧めです。主となる政策や目的を表にまとめ,それぞれの特徴を押さえておきましょう。米将軍といわれる徳川吉宗の農業中心の改革と商人の力を利用して商工業の発展を目的とした田沼意次の政治はよく比較されます。質素倹約を求めたのは誰か,株仲間を奨励または禁止したのは誰か,などよく出題されます。外国船の出没と天保の改革は同時期なので,関連して出題されます。外国船の出現に対する幕府の政策に関しては,①異国船打ち払い令の内容②これを批判した蘭学者③令が緩和された理由などが出題されます。
    産業の発達でよく出題されるのは,商品作物の栽培・鉱山での金銀銅の採掘・金貨や銀貨の流通・水産業の広まりなどとともに,三都の特徴や街道・宿場の整備,新航路の開発と定期船など,多様な問題が出題されるので資料にも気を留め覚えていきましょう。
     文化については,元禄文化と化政文化を比較するような形式で出題されます。それぞれどこで花開き,どのような人々が担い手となったのかは必須,資料図や芸時品から,作者名を選択・記入させる問題も併せて出題されます。

    『歴史・欧米の進出』

     欧米では,17世紀半ばから近代革命が起こり,政治的・経済的な発展を遂げました。イギリスでは「清教徒(ピューリタン)革命」「名誉革命」によって,「権利章典」が定められ,世界初の立憲君主制と議会政治が始まりました。イギリスの植民地だったアメリカは,イギリス本国との「独立戦争」を経て「独立宣言」を発表しました。絶対王政が敷かれていたフランスでは,平民が国民議会を組織して,国王の専制に対して立ち上がり「フランス革命」に発展しました。革命の後,自由・平等や国民主権を唱える「人権宣言」を発表しました。これらの近代革命については,頻繁に出題されます。革命や宣言の名称や内容(宣言についてはその冒頭部分の暗記) を年代順に覚えていきましょう。
    次にイギリスから始まった「産業革命」。産業革命はどのようして始まり,経済や社会の仕組みがどう変わったのかが,グラフや写真などの資料を使って出題されます。これに関連して,資本主義の広がりと,その弊害から生まれた社会主義。この2つの考え方や仕組みの違いを理解しましょう。
    次に,その後の日本の動向に関わってくる,ロシアとアメリカについて学習します。ロシアは領土拡大のための南下政策や皇帝による専制世辞について,アメリカは移民の受け入れによる農工業の発展と南北戦争に関しての内容です。南北戦争については,その原因と結果まで正しく理解しておきましょう。
    キリスト教の布教や工業製品の市場拡大を目的に,ヨーロッパ諸国のアジア進出が始まります。イギリスと清との「アヘン戦争」はよく出題されます。原因となる三角貿易や講和条約の内容まで確実に覚えましょう。戦後の清とインドで起こった内乱「太平天国の乱とセポイの乱」も,関連して出題されることが多いです。

    『歴史・開国と江戸幕府の滅亡』

     東アジアとの貿易を望む欧米諸国が鎖国中の日本に接近してきます,ペリーの来航→日米和親条約の締結→日米修好通商条約の締結→尊王攘夷運動激化→安政の大獄→井伊直弼の暗殺(桜田門外の変)と続く流れをきちんと押さえ,それぞれの出来事について説明できるようにしましょう。①ペリーが来航した浦賀や2つの条約で開いた港の位置を地図上で示したり,不平等条約の内容を記述したりする問題は必ず出題されます。
    倒幕までの動きについては,長州藩と薩摩藩の行動を,順を追ってまとめていくことが大切です。①長州藩に関しては,関門海峡での外国船砲撃→長州藩士と攘夷派の公家の京都追放→京都御所での長州藩と幕府側の薩摩藩らとの戦い(蛤御門の変)→第一次長州征討→四国艦隊による下関砲撃事件。②薩摩藩に関しては,薩摩藩士がイギリス商人を殺害する生麦事件→薩英戦争→薩長同盟締結。元は対立していた2つの藩が坂本龍馬の仲介で同盟することに至った理由も説明できるようにしておきましょう。
    次に,明治維新までも,徳川慶喜による大政奉還(江戸幕府滅亡)→朝廷による王政復古の大号令→京都での鳥羽伏見の戦い→江戸城明け渡し→戊辰戦争(旧幕府の降伏)→五カ条の御誓文という順序でまとめていきましょう。大政奉還と王政復古の大号令の説明や,それぞれを行った将軍と新政府側の目的も出題問される場合があります。
     開国による日本経済への影響に関しては,当時の輸入品と輸出品,金の流出とその防止策,物価の上昇と品不足などに関して,グラフや資料図を使った出題があります。「世直し一揆」と「ええじゃないか」は,民衆のどのような願いから生まれたのか考えておきましょう。

    『歴史・明治維新』

     天皇中心の政治に戻すために新政府が最初に行ったのが,「版籍奉還」と「廃藩置県」です。これがなければ,以降の改革は不可能ですから,2つの政策の内容は確実に覚えて説明できるようにしておきましょう。
    次に,「学制」「徴兵令」「地租改正」の3大改革です。学制では,小学校から大学までの学校制度,4年間の義務教育,学校建設に伴う地元人々への負担が,徴兵令では,兵役がどんな人たちに課されたのか,などについて理解しておきましょう。地租改正は確実に出題されます。「地価・地租・地券」などの用語を用いて,新しい税制が説明できるようにしておく必要があります。また,3大改革には日本中で反対する一揆が派生しました。人々がどんな不満をもったのかも理解しておきましょう。具体的な一揆について学習した場合は,その一揆について出題されることがあります。
    続いて,新しい国づくりのためにとった「富国強兵政策」と,それを実現させるための「殖産興業政策」を学習します。欧米の近代化にならい,鉄道の開通・蒸気船の運行・郵便制度の確立など,経済発展の基礎づくりをしたことや,富岡製糸場のような官営模範工場を建設し,製品の輸出に力を注いだことなど覚えましょう。欧米の文化を取り入れた,「文明開化」と呼ばれる伝統的な生活様式の変化を,資料図から指摘する問題も頻繁に出題されます。
     次に,国際関係について学習していきます。「岩倉使節団」の欧米派遣では,その同行者や,派遣の目的・成果がよく問われます。近隣の諸国との関係では,①対朝鮮に関しては,「征韓論と政府内の分裂」「日朝修好条規」について,②対ロシアに関しては,「樺太・千島交換条約」について,その内容を覚えましょう。
     「開拓使・屯田兵」の用語を使って,北海道の開拓とアイヌ人に対する同化政策を説明したり,薩摩藩や清国との関係を踏まえ,琉球王国が琉球藩になり,「琉球処分」によって沖縄県が設置される経緯を答えたりする問題もあります。
    続いて,日本が立憲制国家になるまでの道筋を学習します。板垣退助の「民選議院設立の建白書」提出→自由民権運動の勃発→士族の反乱と西郷隆盛の西南戦争→武力から言論に移行する政府批判→国会期成同盟の結成→国会開設の勅諭→自由党と立憲改進党の結成→内閣制度の制定と憲法案の作成→大日本帝国憲法の発布→帝国議会の開設。これら一連の流れやつながりを理解したうえで,年表や資料とともに,関係する人物についても参考にしながら,それぞれの内容を理解していきましょう。とても重要で出題頻度の高い学習です。

    『歴史・日清戦争と日露戦争』

     この2つの戦争は,同時に出題されることが多く,次のような観点について,2つの戦争を比較対照しながら覚えていくことが大切です。起こった年(西暦)は,次の第一次世界大戦も加えて10年間隔なので,どれか一つを暗記しておくといいですね。
    「戦争の原因」は必ず覚えましょう。日清戦争は,朝鮮で東学を信仰する農民たちが,政治改革や外国人の排斥を目指した甲午農民戦争,日露戦争は,中国に進出した列強勢力の排除を唱えて蜂起した義和団が,北京の公使館を包囲し,各国に宣戦を布告した義和団事件です。また,満州に進出してきたロシアに対抗するため,中国での利権を守ろうとするイギリスと「日英同盟」を結んだことも忘れずに加えましょう。ビゴーの風刺画を見て,戦争の関係国を問う問題も必出です。
    「戦争の結果」は,条約名とその内容を正しく覚え,それが国内国外にどんな影響を与えたのかも忘れずに覚えましょう。日清戦争では,獲得した遼東半島を三国干渉によって清に返還すること,朝鮮は清から独立して大韓帝国(韓国)としたこと,領有した台湾には総督府を置いて植民地として支配したことなどがあげられます。日露戦争では,賠償金が獲得できなかったことで,国民が政府を攻撃し日比谷焼き討ち事件が発生したこと,帝国主義国の一員となった日本が列強の植民地となっているアジア諸国に刺激を与え,民族運動が活発化したこと,さらに,韓国を併合したことや南満州鉄道株式会社を設立したことも関連して覚えておきましょう。2つの戦争での死者や戦費を示すグラフから,日露戦争でこれらが拡大した理由が問われることもあります。
     戦争以外では,列強各国のアフリカ・アジアへの進出や,ノルマントン号事件で条約改正を求める世論が高まり,陸奥宗光が日英通商航海条約で領事裁判権の撤廃に成功したこと,中国で孫文による辛亥革命の後,中華民国が建国されたことなどに関する出題があります。
    このころに日本は産業革命を迎えたので,軽工業の発展や製糸の輸出拡大・石炭の採掘と八幡製鉄所の建設・東海道線の全線開通などの産業や交通の発展について覚えるとともに,資本家と労働者や自作と小作人の関係もグラフや写真資料を参考にして見ていきましょう。
    19世紀終わりごろの近代文化は,美術と文学が中心になります。代表的な作品と作者名を整理してまとめましょう。学校教育の普及から,野口英世や北里柴三郎などの優れた科学者についても確認しておきましょう。

    『地理・日本の姿と世界から見た日本』本』

     日本のさまざまな地域を学習するためのステップとして,まず日本の「地域構成」について学びます。排他的経済水域の説明や最南端の島などを問う問題,地方区分やさらに細かい区分・県庁所在地名を問う問題などはよく出題されます。島国である日本の位置を周辺国や海洋と関連させて問う問題が出る場合もあります。
    経度差から他国との「時差や時刻」を求める問題,いろいろな「世界地図の特徴」を答える問題,雨温図から「気候の特色」を見つけ該当する都市を探る問題なども頻繁に出題されます。
    次に世界と比較した「日本の地形」を学習します。世界を取り巻く造山帯・日本の主な山脈と河川・日本を取りまく海洋や潮流などの名称は漢字で書けるようにしておきましょう。河川は世界と比較した特徴を発電・災害に関連させて問われることがあります。「地形図」の資料から,縮尺を使って実距離を求め,地図記号や等高線から,建造物や土地利用・扇状地や三角州の地形名を判断する問題も出題されます。
    次章では,世界の人口分布と人口問題ともに,日本の「人口構成」の変化や「少子高齢化」「過密と過疎」などの問題点を学習します。世界の地域別の人口グラフや人口ピラミッドが正しく読みとれるようにしましょう。
    続いて,「日本の資源や産業」について学びます。鉱産資源や化石燃料の世界分布と輸入相手国のグラフに関する発問ともに,再生可能エネルギーへの転換に関する出題があります。電力の学習では,「水力・火力・原子力」それぞれの「発電所の分布」「利点や問題点」に関する出題が必須です。文章で説明できるようにしておくことが大切です。最後が「日本の産業」についての学習です。「農業」では日本の農業の特色や問題点,気候や地形,地域性を利用した栽培法が出題されます。工夫や利点が説明できるようにしよう。「林業」では後継者不足や輸入木材に関する問題点が,「漁業」では漁獲量の制限や育てる漁業に関して出題されます。「工業」の学習では, 地図とともに「工業地帯(地域)」の位置と名称や,「臨海工業地帯・太平洋ベルト・工業団地」などの用語を用いて,日本の工業の特色を問う問題が出題されます「商業」では,「商業の意味や商店の変化」が「サービス業」では,{第三次産業やIT革命}についての出題が中心になります。

    『地理・日本の諸地域』

     ここまで,世界から見た日本の自然環境や地形,人口,資源やエネルギー,産業などについて学んできました。ここからは,地方ごとの人々の生活環境や暮らしに触れ,さまざまな問題点や課題,それに対応するための改善策や新しい取り組みについて,調べていく学習になります。地形や気候についてはすべての地方について共通する学習になります。山地や火山・河川・平野・特殊な地形の位置を地図資料から読み取り,名称を答える問題や,雨温図から都市を選択する問題は,どの地方においても出題の可能性があります。それでは地方ごとによく出題される内容についてみていきましょう。
    九州地方では,沖縄県の問題として,①アメリカ軍基地の存在が与える住民の不安。②リゾート開発による土砂の流出やサンゴの死滅などの環境問題。各種産業の問題として,③重工業発展の地である北九州工業地帯の工業生産の変化や環境への取り組み。④農業では宮崎平野の促成・シラス台地の畑作や牧畜・筑紫平野の棚田での稲作などについて。⑤熊本県で発生した水俣病についても,環境モデル都市に選定されたことと併せて,よく出題されています。
    中国・四国地方では,①山陰・瀬戸内・南四国の雨温図問題は非常に高い頻度で出題されます。②農業では,高知県の促成栽培,岡山県や愛媛県の果物や鳥取砂丘でのらっきょうの栽培など自然環境と関連させた出題があります。③瀬戸内工業地帯の石油化学コンビナートや,④本州四国連絡橋の建設による人の移動についてもほぼ確実に出題されます。その他,⑤平和記念都市や地方中枢都市としての広島市, ⑥山間部や離島の過疎化と町おこしなどの出題も考えられます。
     近畿地方では,大阪大都市圏の中心としての大阪の学習からは,①阪神工業地帯の工業生産の特徴や,②「天下の台所」と呼ばれた江戸時代から続く商業が発展した背景や,③私鉄が乗客を増やすために行った工夫など。に関する問題が。京都の学習からは,④古都として栄えた京都・奈良の文化財や世界遺産に関する問題。⑤観光都市として京都市が取り組んでいる景観づくりに関する問題。⑥伝統工芸品についての問題。が出題されます。港湾都市の神戸市については,⑦丘陵地を切り開いて建設したニュータウンと,けずった土を埋め立て用に使って誕生したポートアイランドとが複合的に扱われて出題されます。
    中部地方は,東海・北陸・中央高地で大きく気候や地形が異なり, 自然に適した農業が営まれています。雨温図の都市や農産物の生産地域が答えられるようにしましょう。特に,山梨県や長野県の盆地で栽培される果物はしっかり覚えてください。北陸地方の稲作や,東海地方の水産業も要注意です。中京工業地帯から東海工業地域へと続く太平洋ベルトでは,特色のある工業や生産品が多いのでよく出題されています。北陸地方で盛んな伝統産業や地場産業も同様に出題が多いです。2027年に開通予定のリニア中央新幹線や投東海道新幹線,東名や名神などの高速道路のルートなども地図から判別できるといいですね。
    関東地方は地形から覚えましょう。日本最大の面積をもつ関東平野と流域面積が最大の利根川。川沿いの台地に堆積した赤土の関東ローム層。中部地方との境となる関東山地などは必ず出題されます。その他,東京湾・房総半島・九十九里浜・霞ヶ浦なども地図で確認しておきましょう。首都である東京都については,中人口の集中を原因とする課題が出題されます。①朝夕の通勤通学ラッシュ,②都心から郊外への住宅地の広がりによるドーナツ化現象。③都市の発達に伴って起こるヒートアイランド現象,④都心の再開発や新都心の建設などです。1都6県で構成される東京大都市圏に関しては,放射状に広がる交通網・臨海部に広がる京浜工業地帯や京葉工業地域・内陸部へ拡大する北関東工業地域・高速道路周辺に点在する工業団地・大都市近辺で盛んな近郊農業・周辺の山間部で見られる高原野菜の輸送園芸農業などについて,資料を使った問題として出題されます 。また,情報の発信を担う東京都で盛んな産業(出版や印刷)や,日本の玄関となる成田国際空港や東京や横浜の貿易港についての問題が出題される場合もあります。
    東北地方の地形では,奥羽山脈・出羽山地。北上高地の3つの山地と,その下流に人がる庄内平野・仙台平野の位置と名前を覚えましょう。また,奥羽山脈をはさんで異なる気候についての出題もあります。日本海側の冬の積雪と太平洋側の夏のやませについては,それらをもたらす原因と産業や生活絵の影響を説明できるようにしましょう。
    新幹線や高速道路が伸びて都市が発展し人口が増えました。広大な土地と豊かな労働力を求めて,高速道路沿線に工業団地が造られていること,関東地方との結びつきから機械工業が発達していること,これによって昭和時代のような出稼ぎが減ったことなど,地図で交通網や都市の名前も確認しながら覚えましょう。
    各県ごとに受け継がれてきた伝統行事や重要無形民俗文化財,農作業ができない冬の家中の仕事から発展した伝統産業については必ず出題があります。特に日程をずらして行われる夏祭りや,国から指定されている伝統的工芸品は,写真資料とともに県ごとに覚えましょう。
    日本海沿岸の庄内平野や秋田平野が,日本の穀倉地帯と呼ばれる稲作が盛んな地域であること,津軽平野のりんごをはじめとして,山形盆地の「さくらんぼ。洋なし」,福島盆地の「もも」などの果樹栽培が有名なこと,「青森ひば・秋田すぎ」などの林業,北上高地の肉牛の牧畜など,全国的に知られている個々の産業についても覚えておきましょう。
    三陸海岸は,沖合が暖流と寒流がぶつかる潮目となる好漁場であるため,日本有数の漁港が集まっていることや,リアス式の海岸を利用した「こんぶ・かき」などの養殖も盛んなことに加え,東北大震災で津波や被ばくで大きな被害を受けたことも併せて学習しましょう。
    広大な面積を持つ北海道地方は,南北に走る北見山地と日高山地,その西側に石狩平野,東側に十勝平野など平地の広がる地形から覚えましょう,有珠山や羅臼岳などの火山や,洞爺湖のようなカルデラ湖も有名ですね。噴火による火山灰地である根釧台地が農業に適する土地に改良発された歴史も出題される場合があります。
    冬が長く夏が短い停滞の気候区分に入り,梅雨がなく,内陸部の盆地では,マイナス20度以下にもなる北海道は,雨温図と都市の組み合わせの問題が出題されます。「札幌・旭川・帯広」の3都市は確認しておきましょう。日本海側の冬の積雪,太平洋側の沿岸部の濃霧についても,発生する原因と合わせて覚えましょう。
    産業に関する問題では,牧草を生産しながら乳牛を飼育する酪農が盛んなこととの関連で,牛乳から「バター・チーズ」を,北洋漁業の拠点として日本一の漁獲量があることとの関連で,サンマなどの魚介類から「缶詰」を製造する加工産業が発達していることが出題されます。
    冷涼な気候には不向きな稲作を,品種改良や客土による泥炭地の改良によって,新潟県と並ぶ米の生産地となったことや,一戸当たりの面積が全国平均の15倍以上もある広い耕地から「小麦・てんさい・じゃがいも・あずき」などの農作物が,機械化や輪作を使って生産されることも覚えておきましょう。
    また歴史問題と関連して,夕張や釧路などで進んだ炭鉱の開発と人口の集中から,第二次世界大戦後のエネルギー革命によると炭鉱の閉鎖と人口の減少へと変化したことも理解しましょう。さらに,明治時代には開拓使を設置して,屯田兵による開拓が行われ,アイヌの人たちが土地を奪われていったこと,も忘れずにしましょう。すでに学習したロシアとの北方領土の問題も改めて出題されることがあります。
    さっぽろ雪まつりや流氷,世界遺産として登録された知床など,自然を生かした観光産業も忘れないようにしましょう。

    『地理・身近な地域の調査』

     地理学習の最後に,野外観察や聞き取りをしたり,地形図や文献,統計や写真資料を使ったりして,グループ毎に地域の調査を行う学習をします,調査の方法や手順,注意点などをしっかりと把握しましょう。地形図を読む問題は必ず出題されるので,①等高線の見方,縮尺から実距離の計算,③地図記号の暗記など,基本的な技能や知識を深めましょう。

  • 英語

    『未来文と未来形』

     「~になるだろう」という意味で,これから先の自然な成り行きを表す『単純未来』や,「~するつもりだ」という意味の意思を表す『意思未来』について学習します。主語や話し手の意思を含まない『単純未来』を英語で表現するには,動詞部分を『助動詞[will]+動詞の原形』で表す未来形が。また,会話などでよく用いる未来形として『be動詞+[going] +[to] +動詞の原形』があります。こちらは,単純未来だけでなく,今後の予定や行動を述べる『意思未来』でも使われます。ここでは,この2つの英文について学習します。2年生の英語では,『[will]+動詞の原形』のように,助動詞を用いる英文をたくさん学習しますが,その第一歩が,未来を表す助動詞[will]です。他の助動詞も使い方は同じなので,この学習で助動詞を肯定文・否定文・疑問文でどう使うのかをしっかり覚えましょう。もうひとつの未来形である『be going to+動詞の原形』のように,2語以上の単語で,動詞部分を表すことも英語ではよくあります。そのような場合,否定文・疑問文ではどう表現するのかも共通性があるので,ここで学んで覚えましょう。加えて,『be going to+動詞の原形』の『to+動詞の原形』の部分は『不定詞』と呼ばれ,続けて学習することになります。この[to]は,直後に『名詞』を置く『前置詞』ではなく,この[to]の直後には,必ず『動詞の原形』を置く決まりになっているので,混同しないよう注意しましょう。ここまでの学習によって,文の内容が,【現在・過去・未来】の時間の流れ(時制という)のどこにあるかによって,動詞部分を変化させることを学んだことになります。これから先は,『時制』という時間の流れにも注意して,英語を書いたり話したりすることになります。日本語とは全く異なるこのシステム(文法)は,基本中の基本ですから,必ずマスターしましょう。

    『不定詞と動名詞』

     不定詞と動名詞,3年生で学ぶ分詞をまとめて『準動詞』といいます。準動詞はいずれも元来は動詞であるが,文中では名詞・形容詞・副詞など他の品詞の働きをする言葉です。主語の人称や単数・複数などによって限定されない(活用しない)ことから不定詞といいます。不定詞は用法が複雑で,英語学習の中心の一つです。  動詞の「~する」を,不定詞「to+動詞の原形」で表すことによって,「~すること」という意味の名詞に変化させるのが,基本となる3用法のうちの「名詞的用法」です。名詞が文中で,主語・目的語・補語として使われるのと同様に,不定詞もそれぞれの位置に置かれ,「~することは」「~することを)」「~すること」という意味で用いられます。主語になるときは文頭に,目的語になるときは動詞の直後に,不定詞が置かれます。 「主語+動詞~」で示される動詞における動作や状態の「理由や目的」を「~するために」と表す場合に用いる不定詞が「副詞的用法①」です。さらにもう一つ,「主語+動詞+補語」の補語に感情を表す形容詞が来るとき,その「原因や理由」を「~して(できて)」と表すのも「副詞的用法②」と呼ばれます。これは,動詞を修飾する語①も,形容詞を修飾する語②も「副詞」なので,副詞的用法には2種類があります。 「~するための」や「~すべき」をいう意味で,名詞を修飾するのが,不定詞の「形容詞的用法」です。この不定詞は「修飾する名詞の直後」に置くことになります。この修飾語の配置を「後置修飾」といいますが,日本語とは逆の配置になるので,注意しなければなりません。また,形容詞的用法には,不定代名詞(something/anything)を修飾することも多いので,その場合の訳し方にも留意しましょう。動詞「~する」を,「動詞にing」をつけ「~すること」という意味の名詞に変化させるのが「動名詞」です。動名詞は,動詞を名詞に変化させるので,「不定詞の名詞的用法」と同様の働きや使い方をします。ただし,注意すべきことが2つあります。 「不定詞の名詞的用法」や「動名詞」が,主語や補語になる場合には,そっくり置き換えることができますが,目的語になる場合には,「主語+動詞~」の動詞によって,①どちらでもよい場合,②動名詞だけが使える場合,③不定詞だけが使える場合,④それぞれで訳し方が異なる場合があります。中学では②と③の場合になる動詞を覚え,間違って使わないように覚えましょう。 2つ目は,「不定詞の名詞的用法」にはない,「動名詞」の役割です。(be interesting to~/be good at~)のように,前置詞の後(~部分)には名詞を置くことが条件です。この名詞を「前置詞の目的語」といい,普通の名詞や代名詞と同じように,「動名詞」を置くことができます。「不定詞の名詞的用法」は用いられません。 以上の「不定詞の3用法や動名詞」の基本を正しく理解し,以後学習する不定詞を使った構文でも応用できるようにしましょう。

    『助動詞』

     「助動詞」とは,動詞にいろいろな意味を付け加える言葉です。中学で学ぶ助動詞の多くは2年生で登場するので,助動詞の使い方の共通性や,それぞれの助動詞の意味や役割,訳し方をマスターしましょう。「助動詞」に共通する使い方には,①動詞の原形とセット(チャンク)で用いる,つまり『主語+助動詞+動詞の原形』の形で用いること。②疑問文では,チャンクの間に「主語」を置き,『助動詞+主語+動詞の原形』の形になること。③疑問文では,チャンクの間に「not」を置き,『主語+助動詞+not+動詞の原形』の形になること。④頻度を表す副詞やその仲間「sometimes/often/always/really」などは,チャンクの間に入れること。などが挙げられます。1年生では2種類の助動詞を学習しました。」「do(does)」は,動詞に「疑問や否定」の意味を付け加え,肯定文を疑問文や否定文に変化させる場合に使われました。また「can」は,動詞に「可能」の意味を付け加え,「~することができる」と表現する場合に使いました。「can」は,これ以外に,「許可」の意味もあり,「~してもよい」と表現する場合にも使われます。疑問文で用いれば,「可能か不可能」を問う「~できますか?」や「許可」を求めて「~してもよいですか?」という表現になります。「can」の疑問文には,これ以外に「依頼」表す役割もあり,相手に「~してくれませんか」と尋ねたい場合に使うことができます。2年生で登場する「may」にも,「can」と同様に,動詞に「許可」の意味を付け加える役割があります。ただし,丁寧な表現で「許可」を求める場合はこちらの「may」を使います。「~してもよろしいでしょうか?」のように,初対面の人や目上の人に対して使うのに適しています。2年生ですでに学習した助動詞「will」は,「単純未来」を表して「~だろう(~でしょう)」や,「意志未来」を表して「~するつもりである(~しようと思う)」と表現する場合に用いることを学びました。疑問文では,同様な意味で「~だろうか?」や「~するつもりですか?)」になりました。これ以外に,「can」のように「依頼」を表し「~してくれませんか?」と尋ねることもできました。助動詞「can」と「will」の過去形「could」と「would」が登場します。「could」は「~できました・~できましたか?」と,過去における「可能か不可能」を表します。「would」は「過去の意思」や「過去の習慣」を表して,「~しようとした」や「よく~したものだ」と表現する場合に用います。また,「can」や「will」と同様に,相手に依頼する場合にも使われます。このうち最も丁寧な意味で用いられるのが「could」で,「~していただけませんか?」とへりくだった言い方になるのでよく用いられます。助動詞「must」は,「肯定文・疑問文」と「否定文」とでは,意味や訳し方が異なるので注意しましょう。「肯定文・疑問文」では「義務」を表し,「~しなければならない・~しなければならないですか?」という意味で用いますが,「否定文」では,「禁止」を表し「~してはいけない」という強い否定を表す意味になります。「~しなければならなくない」と訳さないようにしましょう。助動詞「shall」とその過去形「should」は,2つ意味や訳し方が大きく異なるので,注意が必要です。「shall」は中学生が習うアメリカ英語では,主語が1人称の疑問文だけに用いられ,主語が「I」の場合は「私が~しましょうか」,と「相手の意向」を尋ねる表現に,主語が「we」の場合は「いっしょに~しませんか」と「勧誘」を表す表現になります。これに対して,過去形「should」は,「当然」の意味を表して,肯定文で「~すべきだ(~したほうがいい)」,否定文で「~すべきではない」,疑問文で「~すべきですか?」という場合に使います。助動詞「will」が,不定詞を用いて「be going to ~」に書き換えられることは既に学びましたが,これと同様に,「can」は「be able to ~」に,「must」は「have to ~」に,書き換えられることも学習します。これらのうち,義務を表す「must」と「have to ~」の否定文の違いについては,よく出題されるのでしっかり押さえましょう。助動詞を用いた「I must not get up early.」と,不定詞を用いた「I don’t have to get up early.」の否定文の作り方,「have to ~」の「have」は助動詞ではないので「not」をつけて「I haven’t to get up early.」のようにできません,必ず「don’tやdoesn’t」を使って否定しましょう。また意味も,「禁止」を表し「~してはいけません」と訳す「must not」に対して,「don’t have to ~」は「~しなくていい(~する必要はない」と「不必要」の意味を表すので混同しないようにしましょう。最後に,助動詞は1つの文で1つしか使えません。そのため,未来の文で「must」や「can」を使う場合は『will」+不定詞を使った表現』を用いて表すことになります。つまり,「I will have to study English tonight. (私は今夜英語を勉強しなければならない)」や 「We will be able to travel in space in the future. (私たちは将来宇宙旅行できるようになるだろう)」のよう,時制を表す「will」はそのまま用い,「義務」や「可能」を意味するほうを。助動詞ではなく不定詞表現にします。

    『接続詞と複文』

     「主語+動詞」のかたまりが一つある文のことを「単文」といいます。これに対し,2つ以上の「単文」が結びついて構成されている文のことを「複文」といいます。2年生では,「that/when/because/if」などの「(従位)接続詞」で結ばれている文を学習しました。「複文」を構成する2つの単文は,「複文」で,それぞれ「(文)節」と呼ばれ,「複文のメインになる「主語+動詞~のまとまり」となる「主節」と,主節の内容に詳しい説明をつけ加えたり,文の一部を構成する「主語+動詞~のまとまり」となったりする「従属節」に分けられます。 「従位接続詞(以下接続詞)」を使って,2つの単文を「主節と従属節」として,結び付ける方法を学習します。」「従属節」には,次のような約束があります。①従属節は,『接続詞+主語+動詞~』の語順で表す。②従属節は,主節に対して「時制の一致(主節の動詞が過去形の場合,従属節の動詞も過去形にそろえること)」が適用される。③主節で出てきた人や物が,従属節で再び現れた時には代名詞で表す。などです。接続詞「when」は,『when+主語+動詞~』で,従属節である「when節」となり,「主節動詞」の行動や状態がうまれた「時」の説明を加えます。『because+主語+動詞~』で表される「because節」は「主節動詞」の行動や状態がうまれた「理由や目的」を添えます。同様に「if節」は「主節動詞」の行動や状態がうまれる「条件」を添えます。これら3つの従属節は,いずれも主節の「動詞」を修飾するので「副詞節」といいます。これに対し,『that+主語+動詞~』の「that節」は,「主節動詞」の「目的語」になります。「I know the woman」の「the woman」は,動詞「know」の「目的語」になっています。「I know that the woman lives in Tokyo」の「the woman lives in Tokyo」が,動詞「know」の「目的語」になります。このように,「文(節)」を目的語にする場合に,「接続詞that」用います。目的語は「名詞」なので,「that節」は「名詞節」です。また,ややこしいのですが,従属節の種類によって,異なる表現方法の違いがあります。少しずつ覚えていきましょう。①時を表す「when節やwhile節(~している間)」や,条件を表す「if節」は,未来のことでも同氏を「現在形」で表します。すなわち「I will play games when he will come.」ではなく,「I will play games when he come.」になります。また「I won’t go out if it will be rainy.」ではなく,「I won’t go out if it is rainy」になります。②「that節」以外は,主節と従属節の語順を入れ替え,間に「,」を打って表すことができますが,「that節」は,入れ替えができません(主節の後ろに置きます)。③「that節」の接続詞「that」は,省略することができます。
    最後に,「時制の一致」が適用されない場合が3つあるので,その条件も覚えておきましょう。①不変の真理・格言⇒現在形のまま「We learned that the earth is round.」②現在の習慣⇒現在形のまま「He knew that I walk to school every day.」③歴史上の事実⇒過去形のまま「The teacher told us that the war began in l884.」で表します。

    『比較の文』

     まずは単語の学習として,形容詞と副詞の語形変形(原級-比較級-最上級)を確実に覚えましょう。基本的には,原級に[er]をつければ比較級,[est]をつければ最上級に変化しますが,原級の語尾によって,動詞の原形に3単現の[s]をつける場合と同じように細かい約束があるので,それも考慮して正しく語形変形できるようにしましょう。2音節以上の長い形容詞や,「early」を除く語尾が[ly]で終わる副詞は,語形変形せず,前に「more」「most」をつけることも忘れずに!また,「good/well」は「better-/best」,「little」は「less-least」と,不規則に変化する語にも注意しましょう。
     続いて,2つの人・ものを比べて,「AはBより…だ」」と表現する『比較級の用法』を学びます。形容詞の場合は『A+be動詞+補語+than+B』の語順で,補語の位置に『形容詞の比較級』が入ります。副詞の場合は『A+動詞+目的語+副詞の比較級+than+B』の語順になります。比較級の用法で迷うのが,「than」の後ろのBに代名詞がくる場合です。
    「私は彼女よりあなたのことをよく知っている」という場合は,「I know you better than she (knows).」という意味から,代名詞は『主格』になります。「私は彼女よりもあなたのほうをよく知っている」という場合は,
    「I know you better than (I know) her.」という意味から,代名詞は『目的格』になります。このように正しく記述する場合は区別が必要ですが,口語では目的格を使う場合が多いので,中学ではこれに準じて目的格にそろえて学習するかと思います。それぞれの学校の実情に合わせて覚えてください。
     教科書や指導内容によっては,AはBより「少し…だ」「はるかに…だ」というように程度を補ったり,「○倍…だ」という「倍数表現」を学習したりする場合もあります。
     次に,2つ以上の人・ものの集団の中から,「Aは~のうちで一番…だ」」と表現する『最上級の用法』を学びます。形容詞の場合は『A+be動詞+補語+of(in)~』の語順で,補語の位置に『形容詞の最上級』が入ります。副詞の場合は『A+動詞+目的語+副詞の最上級+of(in)~』の語順になります。最上級の用法で注意するのが,前置詞「of」と「in」の使い分けです,比較する対象が,「グループ(複数の人・もの)」なら「of」,「場所や範囲」なら「in」になります。この使い分けは正誤の判定にかかわるので正しく理解しましょう。
     疑問詞を使って,「AとB,どちらがより…ですか?」=「Which+be動詞(一般動詞)+比較級,A or B ?」で問う疑問文についても学びます。また最上級の疑問文では,「あなたは季節の中でどれが一番好きですか?」=「Which do you like the best of all seasons?」のように,主語が「人・もの」の場合と,「誰がクラスの中で一番サッカーが好きですか?」=「Who likes soccer the most in your class?」のように,主語が「疑問詞」の場合で, 記述が変わるので注意が必要です。
     最後に,「AはBと同じくらい…です」と,程度が同じ場合に用いる『原級の用法』を学びます。形容詞の原級の場合は『A+be動詞+as原級as+B 』,副詞の場合は『A+動詞+目的語+as原級as+B 』の語順で表すことができます。この学習で注意するのは,否定文の訳し方です。必ず「AはBほど…ではない」と訳し,「AはBと同じくらい…ではない」と訳さないようにしましょう。なぜなら,前者は「A<B」に意味になりますが,後者では「A<B」「A>B」のどちらかが判断できないからです。比較表現は,高校でより詳しく学習します。中学では基本をしっかり押さえておくことが必要です。

    『受動態(受け身の文)』 

     同じ内容のことを表現するにも,「ネコはネズミを食べる」のように,「~は~する」という言い方があれば, 「ネズミはネコに食べられるべる」のように,「~は~される」という言い方もある。「食べる」とう動作を起こす(ネコ)側から「~する」と表現する文を『能動態』,動作を受ける対象である(ネズミ)側から,「~される」と表現する文を『受動態』という。英語では,受動態の表現が日本語よりも多く用いられる。
    英語の受動態は,動詞部分を『be動詞十過去分詞』のチャンクで表します。このとき,「be動詞」は,「時制」や「主語」である動作を受ける側の「人称・数」に合わせます。すなわち,現在形なら「is/am/are」,過去形なら「was/were」になります。また,能動態の文との関係から,次の2点を押さえておきましょう。
    ①能動態の「目的語(動作を受ける人やもの)」を,受動態では「主語」にする。
    ②能動態の「主語(動作をする人やもの=動作主)を,受動態では「by+動作主」に変える。
    ②で,動作主を代名詞で表す場合には,「me/you/him/her/it/us/them」の目的格を用います。例文を挙げると,
    「He wrote this letter last night.」は,「This letter was written by him last night.」の受動態で表されます
    「will」や「can」などの助動詞を含む受動態は,動詞部分のチャンクを『助動詞十be十過去分詞』に,現在完了形の受動態は,「have[has]十been十過去分詞」で表します。
     受動態は,能動態の「目的語」を,「主語」に置き換えて表現しているので,目的語がない能動態の文「第一文型」や「第二文型」は,受動態で表すことはできません。「第三文型…主語+動詞+目的語」の文であっても「she has a new bag.」のような文は,「A new bag is haven by her.」に変えると,意味上不自然になるので,受動態にはできません。「第四文型…主語+動詞+人物(間接)目的語+人物以外(直接)目的語」の文では,2つの目的語を,それぞれ主語として,受動態で表すことが可能です。ただ,「人物目的語」を主語にした場合,意味上不自然になる場合もあるので,受動態が2通り表現できるとは限りません。詳しくは,学習プリントを参照してください。