中3の学習

  • 数学

    『式の計算』

     これまでと同じように3年生で必要となる計算技能の習得から始まります。ここでは単元3で学習する『2次方程式』を解くための前段階として,「展開と因数分解」を学習していきます。まずは,「多項式×多項式」を「単項式の和の形」に式を変形する「展開」を学びます。一般的には分配法則を使って行いますが,多項式の条件が (2つの項からなる多項式で,それぞれが同類項でできている) 場合には,乗法公式を用いて展開できることを学びます。中学では4つの乗法公式を取り上げます。
    これから先の計算は,このような「公式」を使って求めます。その原点となる「乗法公式」です。与式ごとに公式を選択し,正しく使えるように練習しましょう。2つの多項式を,公式が使える条件に変形して解く応用問題も含め,乗法公式を用いる展開が100%できるようしましょう。
    次に学ぶ「素因数分解」では, 「因数」の意味を正しく理解するとともに, 「素因数分解」を使って,約数や自然数を2乗した数を求める応用問題が解けるようにしましょう。
    続いて,「展開」とは逆の式変形となる「因数分解」の学習です。こちらも,共通因数を見つけ,分配法則を使って行う場合と,4つの因数分解の公式を使って行う場合を学習します。前章で「乗法公式」を使った展開が確実にできていれば,どの公式が適用できるかの選択だけ注意すれば比較的容易に因数分解の公式が使えるようになります。難しいのは最後に学習する,共通因数を含む多項式の因数分解です。4つの項からなる多項式の一部を,まとめて共通因数とみる因数分解です。理解できるまで例題にたくさん取り組みましょう。
    3章では,「展開と因数分解」を利用した証明問題を学びます。2年生で学習した「偶数や奇数の証明」や「図形の面積の性質の証明」がよく出題されます。文字を使った数の表し方,弧の長さやおうぎ形の面積を求める公式などをもう一度復習しておきましょう。

    『平方根』
     これまでに習った,整数・小数・分数につづく新しい数が「平方根」で,2乗すると2や5になる数です。新しい数なので,平方根の性質や大きさ,整数や分数との関係を明確にしておきましょう。①2・0.3・2/3の2乗である4や0.09や4/9のような,2乗した数(平方数)の平方根はこれまで学習してきた整数・小数・分数で表せますが,2や0.1のように平方数でない数は整数・小数・分数では正しく表せないので,根号√を使って表すこと。②平方根は正・負の2つがあり,その絶対値は等しいこと。③√を使って表された平方根を2乗すると,√が取れて正の数になること。④整数・小数・分数を2乗して√に入れれば,等しい大きさの平方根で表せること。などの性質は特に大切です。不等号を使って大小関係を表す問題もよく出題されます。整数・小数・分数などと平方根を比べるときには,性質の④をつかって,大きさの等しい平方根に直して比べます。
    正確には表せない平方根の値も,近似値なら表すことができます。よく出てくる平方根の近似値は暗記しておくと何かと便利です。この近似値の学習から分数で表すことができる有理数と,表すことができない無理数の学習へと移行します。ここでは特に循環小数を分数で表す方法を覚えましょう。
    この後は,根号を含む式の計算になりますが,四則に入る前にマスターしておかなければならないことが,「根号を含む数の変形」です。根号の中の数が,平方数を因数にもっている場合,性質④の√と2乗の関係から根号の外へ出せるので,√a2 b=a√bのように変形することができます。このことを簡単にするとも言いますが,計算学習に入る前に,この変換が素早くできるようにしておくことは,絶対に必要となる技能です。
    この平方根の変換ができるようになれば,四則計算はさほど難しくありません。あとは分母に根号を含む数を,分子と分母に同じ数の平方根をかけて,分母に根号を含まない形に直す「分母の有理化」ができれば完璧です。計算学習の最後は平方根を含む展開と因数分解や式の値を求める学習です。乗法公式や因数分解の公式はもう大丈夫ですね。
    平方根を用いた思考を要する定番の問題がいくつかあります。数直線等を利用して考えるとわかりやすくなります。何回も類題に取り組んで,考え方や解き方のコツに慣れておかないと,単発の勉強だけでは本番で間違えることも多々あります。

    『2次法方程式』

     3年生の計算技能の中心となる『2次方程式(右辺=0としたとき,左辺が未知数xの2次式で表される等式)』の解き方を学びます。これまで学習してきた「因数分解」と「平方根」を用いて解いていくことになります。2次方程式の解法には,2次式の形によって,次の4つの基本的なパターンがあります。
    ①2次の項+1次の項+定数項=0の場合で,左辺が因数分解できるとき☞左辺を因数分解して解きます。
    ②(1次の項がなく)2次の項+定数項=0の場合で,左辺が因数分解できないとき☞平方根を利用します。
    ここでは,平方根の考え方(x2=kよりx=±√k)をつかって解いていきます。
    ③(定数項の項がなく)2次の項+1次の項=0の場合,左辺を共通因数でくくり☞因数分解して解きます。
    ④2次の項+1次の項+定数項=0の場合で,左辺が因数分解できないとき☞(A)解の公式を使うか,(B)左辺を因数分解できる形に変形(平方完成)して解きます。
    これから後の学習では,必ず必要となる計算技能なので,2次方程式を判別し,①~④のいずれかの方法で解いていけるように,練習して全てをマスターしましょう。(A)と(B)は高校入学後,すぐに学習する「2次関数」で用いることになるので,どちらでも解けるようにしておくことが大切です。
    2次方程式の利用では,2年生でも学習した「文字式をつかって,偶数や奇数」でることを説明する問題や,長方形や正方形の面積を使った問題が多数出題されます。2次方程式の利用では,2つの解が,問題に適しているかどうかを示す「解の吟味」が必要になるので,その方法も覚えていきましょう。

    『xの2乗に比例する関数』

     斜面を転がるボールの転がり始めてからの時間xと,転がる距離yのように,数量xとyとの間にy=a x2の関係が成り立つ関数についての学習です。
    1年生の「比例と反比例」や,2年生の「1次関数」の場合と同様に,対応表・式・グラフの3点について,この関数の特徴を学習することから始まります。2乗に比例する関数の対応表は,「「xの値が2倍,3倍…になると,yの値はx2倍, x3倍…になります」すなわち,「yの値が4倍・9倍・16倍・25倍になる」と覚えておくと便利です。<0.式は比例定数a をy÷x2で求めてつくる。グラフは①原点を通り,y軸について対称な放物線,②の絶対値が大きいほど,グラフの開きは小さくなる。③比例定数a>0のときは上に,a>0のときは下に開くことを覚えておきましょう。1次関数で学んだ変化の割合は注意が必要です。2乗に比例する関数のグラフは直線ではないので,変化の割合は常に一定ではありません。Xの値の変域によって変化するので,
    1次関数で学んだ式『yの増加量÷xの増加量』で求めます。ここまでが,2乗に比例する関数の学習内容になります。テストでは,①表から式をつくる,②式からグラフをかく,③グラフから式を求める,④変化の割合を求める基本の問題に加え,グラフの最大値や最小値を問う問題や。変化の割合とxの変域から,比例定数を方程式で求める問題などがよく出題されています。
    2乗に比例する関数の利用では,放物線に複数の直線が交差する図を使った問題が定番としてよく出題されます。直線の式や交点の座標・放物線の比例定数など順を追って解いていく総合的な問題や,平行四辺形の性質や三角形の等積変形を用いて解きかたを考える問題などさまざまです。個々の問題に時間をかけて取り組み,解き方に慣れておくことが必要になります。

  • 理科

    『水溶液とイオン』

     最初に,「イオン」とは何かを理解するところから始まります。水溶液に電流を流す実験からイオンの存在を知り,原子の成り立ちからイオンが生成されることを学びます。ここでは,塩酸や塩化銅水溶液の電気分解の実験の方法,結果,イオンと原子とを関連付けた考察などについて,細部にわたって出題され,文章での解答を求める問題も多くあります。正しい知識や思考力が試されます。教科書を何度も読み返し,数多くの問題を解くことが必要となる高難度の学習です。
    電気分解でイオンが生成されたり,イオンが原子になったりする変化を「イオン式」で表す問題も必ず何問か出題されます。代表的なイオン式を覚え,授業で行った実験を,化学反応式とイオン式で表せるよう,一覧表にまとめるなどの工夫をして必ず覚えましょう。
     次に,水溶液と金属板を用い,化学変化によって電流を取り出す「電池しくみ」に関する学習へと続きます
    電流を取り出すことができる条件や,金属とイオン間で行われる電子の受け渡しによって電流が流れることを,図やイオン式で表したり,文章で説明したりする問題が出題されます。また,電池の種類やそれぞれの特徴,化学エネルギーが電気エネルギーに変換される実例についても出題されます。
     後半は「酸性とアルカリ性」の水溶液には,それぞれ共通のイオンが存在していることを学びます。水素イオンと水酸化物イオンが存在していることや,電極に向かって移動することを実験で確かめます。この学習についても実験方法と結果に関する問題が出題されます。最後は,2つの性質の水溶液を混ぜ合わせる中和反応についての学習です。混合液中に含まれるイオンの数や,水溶液中のイオンの濃度と体積の変化は, 単元のまとめの問題として必ず出題されます。モデル図やイオン式を使って説明できるようになれば,学習内容の習得がなされたといえるでしょう。

    『運動とエネルギー』

     前半は,「物体が運動するようす(速さと向き)と,物体にはたらく力」の関係を学習していきます。物体に「力がはたらく運動」では,力の向きや時間の経過にともなって,物体の速さが変わり,「力がはたらかない運動」では,物体は等速直線運動することを,実験・観察を通して学びます。ここでは,実験の方法や結果をグラフに表すこと,グラフから速さを求めることについて,多くの出題があります。速さの計算,2種類のグラフの作成,力がはたらく向きと速さの関係の説明などができるようにしましょう。「0,1秒間の移動距離」と「基準点からの移動距離」のそれぞれのグラフの特徴を理解して,2つが混同することがないように注意が必要です。
    「力のつり合い」についても学習します。1つの物体に2つの力がはたらいているのに,物体が動かない場合の条件や,そこにはたらく力の種類を知り,力の合成や分解の実験を通して,合力と分力の規則性を学びます。ここでは,つり合いの3つの条件の説明・力の合成と分解の作図ができるようにしよう。続いて,物体にはたらく力やつり合いと,物体の運動と力の関係を表すニュートンの法則から「慣性の法則」と「作用・反作用の法則」を学びます。法則の性質や相違点を正しく理解しましょう。物体の運動の向きを矢印で示したり,具体的な事象を選択したり,実例を挙げたりする問題が出題されます。
    後半は,「エネルギーと(理科でいう)仕事」について学びます。まず,物体のもつ2つの力学的エネルギーが移り変わることや, 2つのエネルギーの和が一定に保たれることを,実験や事象例を通して学習します。次に,仕事の大きさや,力学的エネルギーの大きさ,さらに1秒間あたりにする仕事を表す仕事率についての計算方法を覚え,さまざまな場面や条件の下で求めることができるようにします。後半は,計算問題が多く出題されるので,多くの例題を解いておく必要があります。

    『生命の連続性』

    前半は,2年生で学習した「細胞」の変化や分裂によって,植物や動物が成長したり,生殖して子孫を増やしたりすることを学んでいきます。2年で学習した「細胞のつくり」についても出題されることがあるので,必ず復習しておきましょう。ここでは,細胞内の核に注目し,細胞分裂がどのようなしくみで行われていくかを,図で判断したり,文章で説明したりする問題が出題されます。生物の成長に関わる体細胞分裂と,生殖に関わる生殖細胞の減数分裂については,それぞれの役割と分裂方法の違いを明確に理解し,染色体が受け継がれていく過程を図で示したり,説明したりできるようにしましょう。その他,「有性生殖と無性生殖」のそれぞれの特徴や長所と短所を問う問題,「無性生殖」では,その種類と生物例を,「有性生殖」では,観察するときの留意点や受精から発生までの過程を図や言葉・文章で解答させる問題も決まって出題されます。後半は,「メンデルの法則」から遺伝の規則性を学んでいきます。ここでは,多くの用語が出てくるので一つ一つ正しく理解していきましょう。「優性の法則と分離の法則」をメンデルの実験から学び,模式図や遺伝子の組み合わせ表から考察できるようにしていきましょう。また「優性形質と劣性形質」から,交配後に現れる個体数が,比例式を使って求められるようにもしておきましょう。この学習は,3年生の主要単元の中でも最も理解しやすいと思われます。高得点を狙っていきましょう。

    『地球と宇宙

     初めに,太陽系と銀河系の天体について知識を広めていきます。太陽を中心とする軌道上を公転している天体には,惑星や衛星,太陽系外縁天体やすい星があること,また,惑星は小型で密度が大きい「地球型惑星」と大型で密度が小さい「木星型惑星」に分類されることを学びます。さらに,太陽のような自ら光を放つ約1000億個の「恒星」からなる星の大集団を「銀河系」と呼ぶことを学びます。それぞれの天体を正しい言葉で答えられるようにしましょう。次に太陽の観察をします。直接見てはいけない太陽の観察の注意点や,準備物・観察記録の仕方などが出題されます。観察した「黒点」を手がかりに,太陽の動きや活動の様子が考察できるようにしましょう。
     第2章では,地球の動きが天体の動きにどう関わっているかを学習します。「天球」「地軸」「北極点」「子午線」「公転面」などの語句の意味を覚えましょう。地球は北極側から見て反時計回り(横から見て西から東に)自転していることや,太陽が「南中」するとき(真南の子午線を通るとき)の時刻を「正午」としていることは,以後の学習に必要となるので正しく理解しましょう。
    1日の太陽や星の通り道と動き(日周運動)は,透明半球を使って観察します。「観察のための準備と記録方法」や,観察記録からわかる「南中高度の測り方」「日の出・日の入り時刻の求め方」など答えられるようにしておきましょう。「太陽や星の日周運動」は,地球が地軸を中心に,西から東へ自転しているために起こる見かけの動きである」という説明を求める問題は必ず出題されます。西から東へ,1時間に360°÷24時間=15°自転するのであるから,太陽や星は東から西へ,1時間に15°の速さで日周運動することになります。
    続いて,地球の公転と星座の移り変わりを学習します。星座を同じ時刻に観察すると,東から西へ少しずつ見える位置が変わることがわかります。この理由を「地球が太陽の周りを西から東(北極側から見て反時計回り)に公転しているために起こる見かけの動き」で説明できるようにしましょう。地球は1年で360° (1か月で30°)公転するので,星座は東から西に同じ角度だけ移動して見えることになり,この見かけの動きを「星の年周運動」といいます。
    このことから考えれば,ある星座を,1か月後にも同じ位置で見ようとすると,「年周運動」によって30°東から西に移動している分だけ戻す必要があります。この場合には「日周運動」で考えて30°÷15°=2時間(前)の時刻になる。「日周運動」と「年周運動」を使い分けて計算できるようにしましょう。ちなみに,1日分の「年周運動」は360°÷360日=約1°で,これを「日周運動」1時間(60分)=15°に換算すれば,60分÷15°=4分となる。つまり,星座は1日に1°西から東へ移動し,同じ位置に見える時刻は毎日4分ずつ早くなる。このことも覚えておくと便利です。
    次に,実際には動かない太陽の位置を,星座を使って示す学習です。太陽と星座が同時に観察できる日没直後の太陽と背後に見える星座を記録していくと,星座の種類が変化していきます。これが「1年間の太陽の動き」として学習します。星座は,東から西へ,1か月に30°年周運動するので,太陽を基準に(太陽が動かないとして)考えると,太陽は星座の中(天球上)を,西から東へ,1か月に30°移動するように,見かけの動きでとらえることができます。この天球上の太陽の通り道を「黄道」といい,1か月ごとに変化する太陽の背後にある星座は,360°÷30°=12星座になります。これが星占いなどで使う「黄道12星座」ですね。また。太陽の背後に見える星座ですから,地球から見ると,太陽と同じ方向にある星座とも言えます。これと間違えやすいのが,「季節の星座」です。これは,真夜中に南中する星座のことです。真夜中に太陽は正反対の位置(真北)にあるわけですから,「季節の星座」地球から見ると,太陽と反対方向にある星座になります。春は「しし座」,夏は「さそり座」秋は「ペガスス座」,冬は「オリオン座」などのよく知られた星座で呼ばれます。2種類の星座を区別して考えましょう。
    地球は,公転面に対して垂直な方向から23.4°(公転面から66.6°)地軸を傾けたまま公転しています。そのため,太陽の南中高度や日の出・日の入りの時刻(昼の長さ)が変化します。南中高度が高く(低く)なって,昼の長さが長く(短く)なれは,日光量が増えて気温が上昇(減って下降)します。このことによって季節の変化が起こります。地軸の傾きが北(南)半球に向いていれば,北(南)半球は夏になります。「夏至や冬至」「春分や秋分の日」の昼と夜の長さの関係も押さえておきましょう。
    第3章では,月と惑星の見え方の学習をします。月では「満ち欠け」と「見える位置」について覚えます。月には太陽に向いている半面に太陽の光が当たり,その光を反射して,地球から光っているように見えます。夜,「満月」が見えるときは,太陽の光が観測者から見て月の正面側に当たっているときです。また「新月」のときは,太陽の光が観測者から見て月の裏側に当たっているときになります。つまり,月の「満ち欠け」は,地球の周りを約1か月で公転する月の位置が,観測者~太陽間のどの位置にあるかによって起こります。月の形は,新月の翌日より,右(西側)から見え始め,上弦の月の半月を過ぎて,満月になります。翌日より,右(西側)から消え始め,下弦の月の半月を過ぎて,再び新月に戻ります。この「満ち欠け」と「月の位置」の関係を図も利用して覚えておきましょう。
    月の通り道と太陽の「黄道」が一致すると。「日食」や「月食」が起こります。月が,太陽と地球の間に入り,太陽の光が月で遮られれば「日食」が,太陽と月の直線上に地球が入り,地球の影で月を覆えば「月食」になります。「日食」の場合,巨大な太陽を,なぜ月が覆うことができるのかも,太陽と月との距離から説明できるようにしておきましょう。
    最後は,太陽と地球の間を公転する内惑星である金星の「満ち欠け」についての学習です。金星は地球から見ると,太陽と近い方向にあるので,明け方(明けの明星)と,日没直後(宵の明星)の限られた時間しか観察できません。この2つ時間に,それぞれ観測者が金星を「どちらの方角に」「どんな形と大きさ」で観察できるかを「太陽・金星・地球の位置関係を表す図」を使って答えられるようにしましょう。このとき,明け方に太陽の見える方向は「東」,で,日没後は「西」になることを間違えないようにしよう。

  • 社会

    『歴史・2度の世界大戦』

     第一次世界大戦のきっかけとなったサラエボ事件のあらすじとバルカン半島の位置,同盟国側と枢軸国側それぞれの国名と位置,日本の参戦理由は頻繁に出題されます。死傷者の数や兵器工場ではたらく女性などの資料から大戦の特徴なども問われます。続いて,レーニンのロシア革命からソ連の成立・スターリンの5か年計画と,ベルサイユ条約と国際連合の成立の関する問題も必ず出題競れます。中国・朝鮮・インドの民族運動の目的や指導者も覚えておきましょう。
    大正時代の日本については,第一次護憲運動と政党内閣の誕生・大戦景気と米騒動・大正デモクラシーと民本主義などの政治経済思想に関する問題や,労働争議などの社会問題や,普通選挙法と治安維持法の制定などが決まって出題されます。大衆文化に関する資料も忘れずに見ておきましょう。
    第二次世界大戦の勃発に関しては,ナチスのポーランド侵攻・独ソ不可侵条約・日独伊三国同盟・アメリカの参戦・ヒトラーのユダヤ人弾圧など,関係各国の思惑や情勢など,年表や地図を参考に図式などにまとめておきましょう。
    第二次世界大戦の始まりに関しては,日中戦争の長期化と軍部の東南アジアへの南進との関係を「援蒋ルートと資源の獲得」から抑えましょう。また,近衛首相の「大東亜共栄圏の構想」や「ABCD包囲陣」についても出題されます。
    戦争の経緯については,真珠湾への奇襲攻撃とマレー半島上陸から戦争が始まり,南太平洋へ進出していった日本軍が,ミッドウェー海戦とガダルカナル島での敗北によって後退し,サイパン島の陥落をきっかけに本土の空襲(東京大空襲)・米軍の沖縄上陸・広島長崎への原爆の投下・ソ連の参戦・ポツダム宣言受諾の流れを地図で場所を確認しながら把握しておきましょう。戦争の長期化とともに行われた国民への動員や植民地や占領地で行った強制労働や皇民化政策についても当時の資料や写真から頻繁に出題されます。終戦の年月日は必ず答えられるようにしましょう。

    『歴史・戦後の日本』

     ポツダム宣言受諾の日本の領土について,失った植民地・アメリカ軍に統一された領土・北方領土を地図で示し名称を答える問題がでます。戦後の改革を指令した人物と組織名・戦争犯罪人に対する裁判・天皇の人間宣言なども含めて細部にわたって覚えましょう。
    連合国軍による日本への民主化政策は,この章の中心となる課題です。最も多く出題されるのが農地改革です。どのような政策で,結果農村がどう変化したのか必ず問われます。また,日本国憲法の制定では,大日本帝国憲法との違いや基本原理が頻繁に出題されます。そのほかは財閥の解体や教育基本法の制定などの問題もあります。
    戦後の世界情勢の中からは,国際連合の創設と冷戦の始まりが中心になります。国際連合ではその目的や仕組み,冷戦では両陣営の組織や政治の仕組みの違いを確認しておきましょう。冷戦とのかかわりで,占領政策の転換と自衛隊の発足・サンフランシスコ平和条約と日本の独立・日米安全保障条約とアメリカ軍の駐留など,2つの内容を関連させて問う問題があります。日ソ共同宣言と外交関係では,日ソ共同宣言と日本の国連加盟・日中共同声明と日中友好平和条約。ソ連と中国について,どちらかが出題されることが多いです。
    沖縄返還とアメリカ軍基地の問題や非核三原則について,さらに朝鮮戦争によってもたらされた高度経済成長についても国民生活の向上や公害問題とともによく出題されます。冷戦後の世界については,ベルリンの壁の崩壊・ECからEUへの発展・サミットやAPECの発足・地域紛争と平和維持活動・石油危機とバブルの経済崩壊などの用語について押さえておきましょう。

    『公民・現代社会と私たちの暮らし』

     公民科とは,中学では「政治・経済・社会}について学んでいく教科です。第1章では,私たちが生きている現代社会の特色について,正しい知識をもち,その意義や影響について理解していくことになります。現代の日本の特色として取り上げているのが,「少子高齢化」「情報化」「グローバル化」などです。
    「少子高齢化」については,少子化・高齢化の原因は説明できるようにしましょう。生活との関わりから,家族世帯の構成・地域社会の役割・医療や保険などの社会保障費の負担について, 具体的な事例を取り上げて出題されます。
    「情報化」では,情報を得るためのメディアの種類,近年著しい発展を遂げている通信技術についての知識をもち,それらがもたらす社会の変化(生活が便利になったことや情報社会で注意すべきこと)について学んでいきましょう。災害時の防災情報の発信・活用の具体例や,情報リテラシー・情報モラルなどの用語についての問題がよく出題されます。
    人・物・お金・情報などが,国境を越えて移動し,世界が一体化していくことが「グローバル化」です。国際競争や国際分業の意味について正しく理解しておきましょう。異文化の人々の交流が増えることで生じる国際問題や多文化社会の形成に関する事例を問う問題や,グラフ資料から日本の食料自給率の特徴を問う問題が出題されています。
     これらの現代社会の特徴を理解し,問題点を解決するための「接続可能な社会」という考え方や,その実現に向けて積極的に「社会参画」していくことの大切についても関心を持っていきましょう。
     続いて,現代社会における文化についての学習です。科学・宗教・芸術というそれぞれの「文化の領域」がもつ役割と課題,長い歴史の中ではぐくまれてきた伝統的文化や年中行事,アイヌや琉球などの特殊な文化について,教科書の写真資料なども参考にしながら理解していきましょう。伝統文化を継承していくための工夫や法律,グローバル化の中で派生する「多文化共生」などについて確認しておきましょう。
    この章の最後は,社会集団の中で私たちが生きていくために必要な考え方についての学習です。他人と考え方が違うことによって「対立」が生じたとき,解決策を話し合って「合意」を目指す努力や,双方が納得するためのよりどころとなる「効率」と「公正」という考え方,対立を事前に防ぐための「きまり(ルール)」をつくる方法や決まりをつくるときに生じる「義務や責任」,採決の方法(全員一致と多数決)などについて,学校や地域社会での具体例を取り上げて出題されます。教科書や資料集などの資料をしっかり読んで実例から理解しておきましょう。

    『公民・日本国憲法と人権』

     人権とは,人が生まれながらに持っている人間としての権利のことです。ここでは,その人権が私たちに保障されるまでの歴史から学習します。英仏の3人の思想家(ロック・モンテスキュー・ルソー)が登場します。3人が当時の社会にどのような考えを唱えたのかを,彼らが著書とともにまとめて覚えましょう。彼らの思想はイギリス名誉革命・アメリカ独立戦争,フランス革命などの近代革命に影響を与えました。革命後に出された「権利の章典」「独立宣言」「人権宣言」で,人類が最初に獲得したのが「自由権」と「平等権」です。アメリカ独立戦争とフランス革命については,どんな革命だったのか,2年生の学習を復習しておきましょう。資料問題として宣言文が必ず出てきます,各文の冒頭部分を覚えましょう。ドイツのワイマール憲法で初めて保障された「社会権」もよく出題されます。社会権とはどんな人権で,なぜ生まれたのかなどが問われます。欧米の人権思想は,明治時代に日本に伝わり「大日本帝国憲法」で,臣民の権利として制限付きで認められました。歴史で学習した憲法の内容をおさらいしておきましょう。
    次に,この単元の中心となる{日本国憲法}に続きます。立憲主義の意味や三権分立の考え方を説明できるようにしましょう。憲法の3つの基本原理は詳しく出題されます。「国民主権」では,天皇の地位や議会制民主主義について,さらに最近は憲法改正の手続きについても出題せれています。「平和主義」では,憲法第9条の条文内容や自衛隊に対する政府の見解などが問われます。歴史で学習した日米安全保障条約や非核三原則についても出題されるので復習しておきましょう。「基本的人権の尊重」では,とても多くの人権が登場してくるので,ノートなどにまとめて学ぶ必要があります。
    全ての人権の根幹となるのが「平等権」です。①現在の日本に存在する差別について,その原因や撤廃するための政策,②男女平等や障碍者に対する配慮,在日外国人との共生社会の構築などに関して発問があります。「自由権」では,憲法で定める「精神・身体・経済活動」の3つの権利についてそれぞれ学びます。テストでは,具体的な事例が示され,該当する自由や侵害されている自由を分類する問題が出題されています。人間らしい豊かな生活を保障するのが「生存権・教育を受ける権利・勤労の権利・労働基本権」から成る「社会権」です。4つの権利の名称と関係する法律「生活保護法・教育基本法・労働三権」の内容を覚えましょう。「基本的人権を守るための権利」もよく出題されます。二本の柱の一つ「参政権」は「選挙権と被選挙権・国民投票権や請願権」などから。もう一つの柱「請求権」は「裁判を受ける権利・国家賠償請求権・刑事補償請求権」からなります。参政権が中心に出題されますが,請求権も権利の名称と簡単な内容は覚えておきましょう。
    これらの人権は法律によっても侵されない権利ですが,他人の人権を侵害してはならないという制限があります。「公共の福祉」です。自由権の行き過ぎを防ぐ公共の福祉の事例について,その理由を問う問題が出題されることがあります。国民の果たすべき「三大義務」も覚えましょう。
    最後に,新しい人権や子どもの人権について学びます。「環境権・自己決定権・知る権利・プライバシーの権利」が社会の変化とともに規定されました。それぞれの内容や関連する法律などについて出題されます。国際連合で採択され,平成6年に日本も批准した「子ども(児童)の権利条約」には「生きる・育つ・守られる・参加する」権利があります。この4つの権利は覚えておくといいでしょう。

    『公民・民主政治と社会』

     みんなで話し合って物事を決めていく民主主義のもとで行われる政治が民主政治です。民主政治の2つの形態である「直接民主制と間接民主制(議会制民主主義)」,話し合いのルールとして「多数決の原理と少数意見の尊重」が説明できるようにしておきましょう。国民の代表者(議員)を選挙で決める「代議制」や選挙の方法を定めた法律「公職選挙法」などの用語も出題されます。
    選挙に関する出題は頻度も高く多種にわたっています。①選挙権の拡大について,1880年の衆議院議員選挙法の成立→1925年の普通選挙法の成立→1945年の普通選挙法の改正→2016年公布の選挙権改正で,どう変わっていったのか。②現代の選挙における4つの原則とは何か。③衆議院議員・参議院議員・地方公共団体の首長と議員それぞれの被選挙権。④小選挙区制や比例代表制など,それぞれの選挙制度の長所や短所の説明,得票数から当選者数を求める選挙シミュレーションなど,出題方法はさまざまです。「投票率の低下」「一票の格差」に関する選挙の問題点や対応策も忘れずに理解しておきましょう。
     政党政治については,時事問題として主な政党の名称や党首の名前など問われることがあります。 ①政党の役割や世論との関わり,②「与党・野党」の分類と役割,③二院制や連立政権などの形態,などの問題が多く出題されています。
     次に,この単元の中心となる「国会」「内閣」「裁判所」の学習です。それぞれ,次のように多くの内容を含むため,ノートにまとめるなどして覚える必要があります。
    立法権を有する国会の学習では,①「国権の最高機関」「唯一の立法機関」などの国会の地位,②二院制をとる理由,③衆議院・参議院の性格や権限・構成の違い,④国会の種類と会期,⑤議案の提出から議決までの審議過程,⑥本会議での定足数や評決の決まり,⑦衆議院の優越が認められている権限,⑧衆議院の解散とその目的,⑨内閣不信任案の提出から総選挙・新内閣成立までの流れ,⑩法律の制定・予算の議決・憲法改正の発議などの国会の仕事。これらの大切な内容が次々登場します。
    行政権を有する内閣の学習では,①内閣総理大臣を首相とする組織や構成員,②内閣総理大臣の権限,③議院内閣制から生じる内閣不信任と内閣総辞職や衆議院の解散との関係,④法律の執行や予算の作成などの内閣の仕事,⑤国民生活に及ぶ行政を扱う省や委員会などの機関の種類や役割,⑥公務員の性格と義務,⑦「省庁の再編」「規制緩和」「地方分権」などの行政改革。などがあげられます。
    司法権を有する裁判所の学習では,①裁判所の種類,②司法権や裁判官の独立の意義,③裁判官の指名や任命,④三審制の仕組みと目的,⑤「民事裁判」と「刑事裁判」の仕組みや相違点,⑥裁判員制度の仕組み・目的と問題点,などが挙げられます。
    これら三権の学習後には,国家権力を集中させないために,互いの権力を抑制しあう仕組みとして「三権分立」の学習をします。「三権」それぞれと,主権者である「国民」とが,どのように権力を行使しあっているかを,図を使って覚えます。「国民審査」や「違憲立法審査権」などの用語も理解しながら,関係図を正しく覚えましょう。
    民主政治の最後は,住民が自らの意志と責任において地域の政治を行う地方自治の学習です。初めに,地方公共団体の「地方議会」と「執行機関」について覚えます。①地方議会の議員や首長の選出方法と仕事,②両社が対等な関係を保つために有する「議会の不信任決議」と「首長の再審請求や専決処分」の権限,③地方公共団体の仕事と支出(歳出)の内訳,④地方財政の収入(歳入)の種類と問題点,などを身近な地域の資料を基に調べていくことになります。テストでは,その調査結果などが資料となって出題されることになります。
    最後は,地方自治への住民参加についての学習です。国の政治とは異なる「直接民主制」を採用する地方自治では,「直接請求権」があります。これに含まれる権利の種類や署名数・請求先などに関する問題が出ることがあります。また,直接請求権以外の住民参加として,住民投票やオンブズマン制度など実際の例とともに出題されることがあります。

  • 英語

    『現在完了形・現在完了進行形』

     ここでは,日本語にはない英語特有の表現も含めて学習していきます。2年生の最後に学習した『動詞の過去分詞形』を用いるので,動詞の活用「原形―過去形―過去分詞形」が正しく書けるように,練習も怠らないようにしよう。初めに,『現在完了形』学習します。主語に続く動詞部分を『助動詞の[have/has]+過去分詞』で表します。この『現在完了形』の文には,3つの用法(使い方)があります。 一番分かりやすいのは『経験の用法』だと思います。「~したことがあります」と,現在までに経験(体験)したことを表す文です。この用法では,「1度」「2度」「何度も」など経験回数を表す副詞句や,「これまでに」「以前に」などの副詞を文中に添える場合が多いので,これらの英語表現も覚えていきましょう。またbe動詞の過去分詞「been]の使い方と意味は注意が必要です。学習プリントに例文等を使って詳しく説明しているので見てください。「一度も~したことがない」という否定文や,「~したことがありますか」「何回~したことがありますか」などの疑問文を,よく出題されます。「never」「ever」の使い方を覚え,簡単な英作文が書けるよう練習しましょう。 2つ目が『完了の用法』及び『結果の用法』です。日本語では,この用法は過去の文として扱いますが,英語では,動詞部分の形を変え区別して表現します。英語では『過去形』は単に過去の事実を述べるにすぎません。動作が完了した(終わった)ことを,現在から振り返って述べる場合には『現在完了形』で表現します。過去の動作や状態を現在と関連づけ,現在を基準としてとらえます。日本語に慣れている私たちには区別が難しいとは思いますが,学習プリントではより詳しく説明しているので,練習問題を行いながら理解していってください。「just」「already」「yet」などの副詞の使い方にも慣れてください。過去に行った動作が,現在にも何らかの影響を及ぼしている場合に使う『結果の用法』は,さらに理解しにくいため,取り上げない学校もあると思いますが,プリントにはいくつかの例を挙げ意味の違いを示しました。  3つ目は『継続の用法』です。こちらは次に述べる『現在完了進行形』と比較・関連させて覚えることが大切です。『現在完了・継続の用法』も『現在完了進行形』も,日本で考えた場合には全く同じになります。どちらも,過去のある時点から現在までずっと(今でも),動作や状態が継続している場合の表現方法になります。2つの相違点は動詞の種類の違いにあります。動きや変化を表わす動詞『動作動詞』なら『現在完了・継続の用法』で,感情や感覚・存在や所有などを表す動詞『状態動詞』なら『現在完了進行形』で表すということです。2種類の動詞は,短時間で始めたり,止めたたりできるか否かで見分ける方法もあります。学習プリントにはよく使われる状態動詞の一覧表も示しているので,授業で使う動詞を中心にその違いに気付くことができれば英作文するときに迷わず書けるようになると思います。『現在完了進行形』は,動詞部分を『助動詞の[have/has]+過去分詞[been]+現在分詞[~ing]』で表します。3単語の動詞チャンクですが,否定文や疑問文で表すときは,チャンクの共通した約束で簡単に書き換えできるので,改めて学習してください。疑問詞[How long]の使い方や,過去形で使う[ago] [when]は使えないことにも注意しましょう。

    『関係代名詞と後置修飾』

     2年生では,いろいろな接続詞を使って,2つの文を結び付ける学習をしました。ここで学習する「関係代名詞」も,2つの文を結びつけるはたらきをします。登場する「関係代名詞」は,「who」「which」「that」の3種類です。「接続詞whenなど+主語+動詞~|が,主節の動詞を修飾するのとは異なり,「関係代名詞」が修飾するのは,主節部分にある「名詞」になります。「関係代名詞」を含む節を「関係代名詞節」といいますが,名詞を修飾するので「形容詞節」とも呼ばれます。『彼は医者です』という文に,『その医者は日本で有名です』という説明を加える場合,主節の「He is a doctor」の名詞「a doctor」を,「The doctor is famous in Japan」という「関係代名詞節」が修飾することになります。日本語では,『彼は日本で有名な医者です』と,修飾する部分は「医者」の前に置かれますが,英文では,被修飾語である名詞「a doctor」の直後に,「The doctor is famous in Japan」という修飾語句が置かれます。このように,修飾する語句が,被修飾語を後ろから修飾することを「後置修飾」といいます。ここで関係代名詞の登場です。後置修飾していることを示すために,修飾語句の先頭に関係代名詞(この場合はwho)を置き,「He is a doctor who the doctor is famous in Japan」とします。重複する「the doctor」は消して,「He is a doctor who is famous in Japan」と表します。「who is famous in Japan」が「関係代名詞節」で,修飾される名詞「a doctor」を『先行詞』と呼びます。「who」は,関係代名詞節の主語「the doctor=he」の役割を兼ねます。このように。主語の役割をする関係代名詞を,「主格の関係代名詞」といいます。また,『彼は医者です「He is a doctor」』を,『私が昨日会ったのはその医者です「I saw the doctor yesterday」』という説明を加える場合には,「関係代名詞節」の先頭に,関係代名詞(この場合はthat)を置き,「He is a doctor that I saw the doctor yesterday」となりますが。「saw」の目的語である「the doctor」は重複するので消して,「He is a doctor that I saw yesterday.」と表します。「that」は,先行詞「a doctor」と等しく,関係代名詞節の目的語「the doctor」も兼ねているため,「目的格の関係代名詞」といいます。このように,関係代名詞を用いて表される複文は,①主格の場合は『主節の名詞(先行詞)+関係代名詞+動詞~』の語順で,関係代名詞節の主語を省略する。②目的格の場合は『主節の名詞(先行詞)+関係代名詞+主語+動詞~』の語順で,関係代名詞節の目的語を省略する。というように,主格の場合と目的格の場合で語順が異なるので注意が必要です。関係代名詞は,次のように使い分けます。「先行詞」が「人物」の場合で,「主格」なら「who」,「目的格」なら「whom」。「先行詞」が「事物」の場合には,「主格」でも「目的格」でも「which」を使います。「格」や「先行詞」に関係なく使えるのが「that」です。中学では「whom」は用いないので,「先行詞」が「人物」で「目的格」の場合は,「that」を使うのが一般的です。最後に,主節の名詞(先行詞)が主語のときは,次のような語順になるので注意が必要です。『その医者は有名です』に『私は昨日その医者に会いました』を結びつけると,『私が昨日会ったその医者は有名です』となり,複文にした場合,先行詞は「The doctor」で「人物」,修飾する語句に主語があるので,関係代名詞節は「目的格」です。よって,関係代名詞は「that」となり,先行詞の直後に置く必要があるので,「The doctor that I saw yesterday is famous.」という語順になります。このとき,関係代名詞節「I saw yesterday is famous.」は,主節「The doctor is famous.」の間に入り込む形になります。これを『割り込み型』といいます。前述した「He is a doctor that I saw yesterday.」は,関係代名詞節「I saw yesterday.」が,主節「He is a doctor.」の後ろに続く形になります。こちらは『付け足し型』といいます。先行詞が,主節の主語になる場合には,必ず「割り込み型」になりので,重ねて練習が必要です。

    『分詞の形容詞的用法』

     動詞が語形変化して,形容詞の機能をもつようになったものを分詞といいます。分詞には,現在分詞と過去分詞があります。現在分詞は,「動詞の原形+ing」の形で,「~している」という進行状態を意味する形容詞の仲間です。一方,過去分詞は,「動詞の原形+ed(d)」の形や,「know- knew- known」のように不規則に語形変化するものがあり,「~される」という受け身の意味を表す形容詞の仲間です。
     分詞は形容詞の役割をもつので,名詞を修飾するという働きがあります。形容詞を使って「親切な少女」と表現する場合,「a kind girl」と,日本語と同じように形容詞を名詞の前において修飾します。これと同じように英語でも,「歌っている少女」は「a singing girl」と,現在分詞を名詞の前において修飾します。また「壊れたドア」という場合は,「the broken door」と,過去分詞を名詞の前において修飾します。この修飾の形を『前置修飾』といいます。
     但し,次のように修飾する分詞に,他の語句が結びついて2語以上で名詞を修飾する場合は,この『前置修飾』の形をとりません。「子守唄を歌っている少女」なら「a girl singing a lullaby」「風によって壊れたドア」
    なら「the door broken by wind」と,修飾する名詞の直後において,後ろから修飾する「後置修飾」の形になります。
     このように,分詞を形容詞として用いる『形容詞的用法』には,現在分詞や過去分詞が1語(単独)で修飾する場合の『前置修飾』と,分詞+語句の2語以上(集団)で修飾する場合の『後置修飾』という違いがあることを理解し,翻訳や記述が正しくできるようにしましょう。
     また,関係代名詞による『後置修飾』の場合と同じように,次のように,修飾される名詞が主語の場合には,動詞に注目し,それより前の部分にある「名詞+分詞+語句」が,主語になっていることにも注意しましょう。「A girl singing a lullaby hold a little boy. 」=「子守唄を歌う少女が小さな男の子を抱きしめていました。」のように,動詞「hold」で切って,これより前の部分を主語として訳しましょう。